ピート・ローズとイチロー
この記事を書いている時点で、イチローのヒット数は日米通算で4255本。
そうです。
あのピート・ローズの4256本にあと1本と迫っています。
で、こんな記事。
まあ、この手の意見はたくさんあるんですが、ぶっちゃけ言えば、どれも正しいし、どれも異論がある、というところでしょう。
つまり優劣の話をしたら決着がつかなくてキリが無いということなんですよ。
だって、メジャーリーグだけで4256本のヒットを打ったのはローズだけであり、それはイチローも及びません。
一方、もしイチローがこのまま4257本のヒットを打ったのなら、職業野球の一軍でその数のヒットを打ったのはイチローだけであり、それはローズも及びません。
この場合、どちらが優れているなんて、価値観の置き方によるので、正解は無いわけです。
どちらもナンバーワンですし。
ヒットの性質にもよりますよね。
例えば、あるチームが20勝0敗だとするじゃないですか。
でも、それが、すべてのゲームで1点差でなんとか凌いだケースと、すべてのゲームで10対0くらいで大差で圧勝したのとでは実力が違いますよね。
違うにも関わらず、どちらも同じ20勝0敗という数値で表現されてしまうわけです。
数値が同じでも性質が違うなんてのは当たり前なので、イチローもローズも数値で優劣なんて決められないわけです。
繰り返しますが、ローズがメジャーリーグで4256安打を打ったのは前人未到ですし、イチローが職業野球の一軍で4257安打を打ったのなら、それまた前人未到です。
条件が不揃い
特に、野球というスポーツは一概に比較して優劣を決められない要素がたくさんあるんですよ。
例えば球場の形なんてチームによってバラバラです。
狭い球場を本拠地とするチームは他のチームよりもその球場でプレーする回数は圧倒的に多いわけですから、ホームランの本数も増えやすいわけです。
にも関わらず、ホームラン王の定義は単なる数値で決まります。
狭い球場で50本のホームランを打った人と、広い球場で50本のホームランを打った人とを比べると、価値は違うはずですが、ホームラン王の定義はあくまでも50本という数値なんです。
それくらい、野球の記録というのは優劣の議論が難しいんです。
昔の劣悪な環境と今の恵まれた環境。
試合で使われるボールの種類の変更。
全天候型球場と屋根無し球場。
試合数の変化。
あまりにも条件が違うんです。
シーズン130試合制で200本安打を打つのとシーズン144試合制で200本安打打つのと、どちらもすごいですが、まったく同じ価値とは言いにくいですよね。
日本人はどちらかと言えばイチローファンが多いと思うので、イチローの新記録を支持すると思いますし、それはそれで正しいわけです。
一方でローズの言い分も正しい。
どちらがすごいなんて、同じ条件でやっていないんだから、そもそも決められないんです。
まったく同じ時代に、まったく同じ年齢で、まったく同じチームで、まったく同じ出場試合で、ローズとイチローを比較するのなら、かなり優劣は決めやすいと思いますが、それはありえませんよね。
世の中にはそういうロジカルな分析を抜きに、単なる感情論で優劣比較をする人が多いですよね。
だから、たくさんの間違いが起こります。
わかりやすい間違いの事例を以前にも書いたので読んでみてください。