非天マザー by B-CHAN

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今の円安は昔の円安と違ってここがヤバイ

株価上昇と円安

今回の衆院選前から自民党の優勢が報道されていたので、景気回復の期待から株価が回復しつつあります。
また、円ドルの為替レートに関しては、9月頃に1ドル=78円前後で底を打ち、10月、11月、12月とジワジワと円安に向かっています。
今日12月19日現在で、1ドル84円を超えるまでに円は下落しています。
日本は資源に乏しい工業国なので、基本的には輸出に頼らざるを得ず、円安は大きなメリットもたらします。


円高と円安

さて、ここでちょっと考えなきゃならないことがあります。
円高とか円安というのは相対的なモノです。
いくらだから高いとかいくらだから安いということではなくて、以前と比べて高くなったか安くなったかで語られるわけです。
例えばさっき書いたように、今日現在で1ドル=84円を超えるまでに円が安くなってきているわけですが、じゃあこれが良いかどうかは別の話です。
極端に言えば昨日よりもちょっとでも安ければ、それは昨日と比べると円安だからです。
だけど、昨日よりも円安だからバンザーイ!というわけでも無くて、日本の経済が立ち直るためには、少なくとも不況を脱するほどにまでは円安が進む必要があると考えられるわけです。
ちなみに、バブル絶頂の1989年の為替レートはだいたい1ドル=137円前後でした。
今の1ドル=84円なんてのは、当時と比べるとべらぼうに円高だと言うことがわかりますね。
為替レートの推移(1980〜2012年) - 世界経済のネタ帳


ということは、今後、1ドル=90円、100円、110円と円安になっていけば、日本はどんどん経済発展していきそうですね。


原油価格と円安の関係

でも、ここで、ちょっと切ない話をしなければなりません。
それは原油価格についてです。
バブル絶頂期の1989円の原油価格はおよそ1バレル=20ドルでした。
その後2000年代に入って原油価格は暴騰を続け、2012年には何とおよそ1バレル=95ドルにまで上がっています。
原油価格(WTI)の推移(1980〜2012年) - 世界経済のネタ帳
何が言いたいのかと言うと、同じ円安でも、1989年と今とでは意味合いが大きく異なると言うことです。
1989年は、

  • 為替:1ドル=137円
  • 原油:1バレル=20ドル

これが現在は、

  • 為替:1ドル=84円
  • 原油:1バレル=95ドル

計算すればわかりますが、
1989年には1バレルの原油を輸入すると、20×137=2740円
現在は1バレルの原油を輸入すると、95×84=7980円
実に3倍近いコストがかかるわけです。
しかもこれは現時点での1ドル=84円で計算した場合です。
円安は輸出には有利になりますが輸入には不利になります。
例えばもし現在の原油価格で、バブル期と同じ1ドル=137円になったら、
1バレルの原油を輸入すると、95×137=13015円
同じ為替レートなのに、バブル期の4.75倍も高い原油コストがかかるわけですね。
原油というのは、これまた日本ではほとんど採れない資源です。
しかも発電、輸送、製造、調理、光熱など、生活の大部分で石油が関わってきます。
つまり日本国民の命に関わるって事です。
原油が安かった頃は、円安になればなるほど輸出が活況になり、日本にはプラスになりました。
輸出が活況になる点では今も同じですが、原油価格がこれだけ高いと、円安になればなるほど原油コストが大きな負担となります。
輸出をするための製品を作るための原料が輸入できない、なんて事にもなりかねません。
発電コストも、自動車のガソリン価格も、当然上がります。
日本の大きな課題は、円高の間に、海外の資源採掘権をとにかく取りに行くことなんですが、果たしてどれだけ実行されてきたのか、あるいは実行されていくのか。
とても気になります。


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