母数を調べないと意味が無い
まず、話題になっているこの記事を読んでみてください。
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声の低い男性は出世する? でも「声の高い同僚」も必要だ - Ameba News
読んだら、次は、ボクのこの記事を読んでください。
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この3つの話について、ちょっと考えてみてください
はい、頭の良い方なら、ピーンと来ましたよね。
CEOだけを対象に調査しても参考にならないわけです。
この調査のやり方だと、CEOにたまたま声の低い人が多かったというだけのことです。
声の低い人が出世するかどうかを調べるのなら、声の低い人と高い人を母数に置いて調査して、その中で何%がCEOであるかを調べなきゃならないわけです。
結論を出すための調査方法が逆です。
例えば今回の調査では792人のCEOを調べたと書いてあります。
仮にそのうちの7割の554人が声が低いとします。すると残りの238人が声の高い人です。
「なるほど、声の引く人が出世しやすいんだな。」
と思ったら間違いです。
もし、声の低い人が世の中全体で3000人いたとしたらどうですか?
3000人のうちの554人がCEOなので18.4%です。
いっぽうで声の高い人が全体で1000人しかいなかったらどうでしょう?
1000人のうちの238人がCEOなので23.8%です。
ほら、声の低いCEOの方が多いけれど、声の高い人のほうがたくさん出世していることになります。
つまりCEOの中だけを見ると声の低い人が多いのは事実ですが、それによって、「声の低い人が出世しやすい」とはならないわけです。
統計の取り方の間違いですね。
声の低い人が出世しやすいかどうかを調べるなら声の低い人を母数に置く必要があるんですよ。
犯罪者10人を調べたら10人全員がカレー好きだった。
だからと言ってカレー好きな人全員が犯罪者というわけではない。
それと同じ事です。
これを統計学では「『逆』は真とは限らない」と言います。
きちんと考えることが思いやりにつながる
ボクが書いた上記の「3つの話」については、珍しいことでもなんでもなく、今回の調査に見られるように、世の中にはわりとよくある間違いなんですよね。
そして多くの人が間違いに気づいてないんです。
「3つの話」にも書きましたが、間違いに気づかないと、命を守るつもりが、かえって危険な選択肢をとってしまう可能性が大きいわけです。
いつも言っていることですが、論理的にきちんと物事を考えることが、罪のない人を冤罪から守ったり、命を救ったり、人の役に立ちます。
みなさんも、普段から訓練して、自分のため、そして世の中のために役立ててもらえればと思います。
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