Appleの弱み
ボクは、2009年に初めてiPhoneを使い始めてから、毎年、iPhoneの新機種を入手しています。
理由はカンタンで、使いやすいからです。
機能が高いとかプロセッサーの処理能力が速いとか、そう言う話では無く、操作性の話です。
AndroidもWindowsもたくさん使って来て、そして今でも使っていますが、それでも、iPhoneやMacのユーザーインターフェースは良くできています。
機能では無く、滑らかさです。
指に吸い付くような画面の動きは、WindowsやAndroidでは実現できていません。
バウンススクロール(端っこに到達すると跳ね返るようなスクロール)は一説によれば、Appleが特許を握っているとか。
だから、Android機では、端っこに来ると、いきなりスクロールがピタッと止まって、変な白い模様が現れます。
指に吸い付かないのです。
Androidも最近の機種はiPhone並みに滑らかに動きますが、iPhoneは最初から滑らかでした。
2010年頃でしょうか。
AndroidからiPhoneに乗り換えた友人が、あまりの滑らかさに感動していました。
そんなiPhoneですが、ボクはiPhone上で、たくさんのGoogleのサービスを使っています。
メールも地図もカレンダーもアドレス帳もGoogle。
理由はたったひとつ。
AppleのソフトウェアはAppleのハードウェアでしか動かないコトが多いからです。
Appleのカレンダーや地図はMacやiOS機でしか使えません。
まあ、ウェブブラウザでiCloudを使えば、カレンダーは他機種でも使えますが、ネイティブアプリほどの使いやすさはありません。
その点、Googleのサービスは、Windows、Mac、iOS、Androidで動きます。
世の中のほとんどの端末で使えます。
これがAppleの弱点。
自社のハードが普及しないと自社のサービスを使ってもらえない。
かつて、iPodはMacでしか使えませんでした。
しかし、Windowsにも対応させて、結果、iPodは世界の歴史を変えるくらいの大ヒット。
そりゃそうです。
Macユーザーは少ないですからね。
Appleのサービスの解放
ここでみなさん、実は昔、Macが色んな会社から販売されていたコトを思い出しましょう。
Windowsパソコンは、DELLやHP、NECや東芝など、世界中の様々なメーカーから販売されています。
その結果、世界の大半のパソコンはWindowsに。
で、Macも同じ路線に走りました。
かつて、あの日本のパイオニアと言う音響機器メーカーもMac互換機を売っていたんですよ。
ところが、これでAppleの売上は落ちます。
Microsoftは、自社でパソコンを売っていなかったので、各社がWindows機を売ってくれるコトで大成功。
しかし、Appleは自社でMacと言うパソコンを作っていました。
なのにMac互換機を他社にも解放し、結果、自社のMacの売上を食ってしまったわけです。
そんなこんなで、互換機路線を廃止。
後にスティーブ・ジョブズがAppleに復帰して救うまで、Appleはどん底にいました。
今では世界最大級の会社ですが、その大半はiPhone。
しかも高い利益率。
Appleは自社のハードで稼ぐ会社です。
ところが、こんなニュース。
自社のサービスを他社のハードに開放。
自社ハード限定をやめて、他社のハードでAppleのサービスを使えるようになります。
これって、もしや。
MacやiOS機やApple TVを買わなくても、Appleのサービスを利用できる。
iPhoneの売り上げが不振だと毎年のように言われながら、何だかんだと過去最高の売上を更新してきたApple。
しかし、いつかはiPhoneだけでは会社を支えられなくなります。
その前に、iPhone以外の柱を作る必要があります。
かつて、IBMはコンピュータハードウェア会社でした。
ノートパソコンの名機、ThinkPadの会社でした。
しかし、今や、ほぼ、サービスの会社。
富士フイルムは、銀塩カメラの時代には絶大な安定感を誇りましたが、デジカメの時代になり、本業のフィルム事業はほぼ消滅しました。
それでも業態を転換して巨大企業として生き残っています。
かつて、MacだけがアイデンティティーだったAppleは、他社にも解放して失敗しました。
今のAppleが当時と違うのは、iOSを核として、音楽や動画など、様々なサービスで大きなシェアを持っているコトです。
今のうちに、自社サービスを他社ハードに解放。
自社ハードの売り上げの落ち込み以上に、サービス売り上げが増えればOK。
そう言えば、去年、Microsoftが久しぶりにAppleの時価総額を逆転しましたね。
モバイルの時代にOSで完全に乗り遅れながら、それでも好調なMicrosoft。
Windowsで世界を握るMicrosoftも今ではWindowsメインの会社では無いと言えます。
GoogleとFacebookは広告の会社。
それを横目に、モノやサービスを売って稼ぐ、Apple、Amazon、Microsoft。
はたして、どれが生き残るのか。あるいはどれも生き残るのか。
ボクは、モノもサービスも売りまくるAmazonが強いと見ていますが。