付加価値とGDP
GDPって何か知っていますか?
話をカンタンにするために、ちょっと雑に書きますね。
例えば、1kgで1000円の小麦を仕入れて、それを50個のパンにして焼いて1個100円で売ったとします。
ここでは、とりあえず人件費や光熱費を省略します。
1000円で材料を仕入れて5000円で売れたので、原価率は20%です。
逆に言えば、儲けは80%です。
1000円の材料で作ったモノを5000円で売るなんて、ぼったくりだ!
てな感じの発言をする人は少なからずいます。
では、こう考えましょう。
1kgで1000円の小麦を仕入れて、50個のパンにして焼いて売るパン屋さんが2つあります。
A店は、パンがすごくおいしくて、あっと言う間に完売。大好評です。
B店は、パンがまずくて、1度食べた人は2度と食べません。
A店もB店も材料は同じ。つまり原価率も利益率も同じ。
違うのは、パンの作り方です。
知恵と工夫をこらしておいしく作るA店と、それをしないB店。
どちらもパンの価格が同じで良いのでしょうか。
ここに原価だけで判断する落とし穴があります。
例えば、ダヴィンチやゴッホやピカソの絵は何億円もの価格で売買されますが、原価なんて、キャンパスやら染料、顔料など、たかが知れています。
では、ダヴィンチやゴッホやピカソの絵画は超ぼったくりなのでしょうか。
もちろん違いますよね。
モノの価格は、材料の価格から決まるのでは無く、人々が欲する度合いで決まるのです。
例え同じ材料費でも、おいしい食事には高いおカネを出しても良いと考え、まずい食事は価格が安くても欲しくありません。
1000円で仕入れたモノを5000円で売る。
この差分を付加価値と言います。
日本中での付加価値の合計値を日本のGDPと呼びます。
つまり、日本のGDPが高くなると言うコトは、それだけ付加価値が高くなると言うコト、つまり、材料費では無く、おいしさや創意工夫、芸術性などの、知的な部分の上乗せが大きいと言えるのです。
日本が先進国として世界でもトップレベルの大きなGDPを生み出すのは、日本がぼったくりが上手だからでは無く、日本が価値を生み出すのが上手いからです。
高い利益率を誇る企業は、それだけ、頭脳が優秀であり、顧客を満足させる価値を生み出していると言えます。
例えば、日本の製造業では営業利益率で3%をとれれば御の字ですが、アメリカのAppleは数十%もの利益率を誇ります。
つまり、Appleは。仮に同じ材料を使ったとしても、他社と比べ、より高い付加価値を生み出しているわけです。
ちみつなユーザーインターフェースや、精密な組み立て加工など、材料費以外のところで価値を生み出し、それを好むユーザーが多いので、高い価格で売れるわけです。
材料費のコトを専門用語では変動費と呼びます。
それはたくさんつくる程、材料費も増えるからです。
10個のパンを作るには1個のパンと比べて10倍の小麦を使用しますよね。
変動費は、モノがたくさん売れても、それに合わせて増えていくので、企業が利益率を高めるには、変動費以外の要素、つまり固定費が重要になってきます。
固定費は、モノが何個売れても変わりません。
例えば、Apple製品の利益率の高さは、高価な材料を使うコトで生まれるのでは無く、それ以外の要素、デザインとか操作性から生まれます。
デザインや操作性は一度決定すれば、何個売れても、コストには跳ね返りません。
究極の付加価値ビジネス
片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんが快進撃です。
近藤さんの本は世界で1000万部も売れていますが、近藤さんは本を製造したわけではありません。
近藤さんの仕事は、本の執筆です。
当たり前ですが、本は、一度書けば、あとは何冊売れても、紙代やインク代などの変動費は増えますが、コンテンツの費用は一切増えません。
書くのは1回でも売れるのは1000万冊。
パンの場合は、100個売るためには100回作る必要がありますが、パンの作り方を編み出すのは1回きりです。
パンにしても、本にしても、付加価値は「知」の部分なんですよね。
そう考えると、本を書いてベストセラーとなるのは、究極の付加価値ビジネスですよね。
労働は1回で、買うのは大勢。
そんなコトを書きながらボクは思いました。
このブログ。
紙の書籍を上回る究極の付加価値ビジネス。
ボクがこうやって記事を書くのは1回だけです。
材料費は特にかかりません。昔買ったパソコンを使っているだけ。
書くのは1回でも、1回公開すれば、何千人、何万人もが見に来てくれて、そこから収益を生み出します。
要は、電子出版と同じで、原価率はほぼゼロに近いんです。
1000人が読むからと言ってボクが1000回も書く必要は無いわけです。
ここがパン作りと異なるトコロ。
非常に高い利益率です。
企業経営する上で原価計算するコトは非常に重要です。
しかし買い手にとっては、原価率なんて本来は関係の無い話。
上に書いたとおり、同じ原価でもおいしいパンは売れるし、まずいパンは売れないのです。
原価が安いから叩くのは全くのお門違いであり、原価が安い、利益率が高いビジネスを展開できる企業は、非常に優秀なのです。
材料以外の部分で顧客を満足される価値を生み出しているわけですから。