値下げ
唐突に質問しますが、1キログラムで1000円のチーズが、後から、300グラムで400円になったら、それを値下げと言うでしょうか?
ボクは値下げだとは思わないんですが、今回はそれを前提に書きますね。
携帯電話キャリアのドコモから、ahamoと言うプランが発表されました。
3980円のKDDIや4480円のソフトバンクを下回る価格に、世の中は大騒ぎです。
何せ、2980円ですからね。
で、ここで、ピンと来るわけです。
そもそも、総務大臣が、日本の携帯電話はもっと値下げできると言う圧力を掛けて来たのが、今回のドコモの発表につながったわけです。
そして、2980円のahamo。
ここまで書いたら、おかしさに気付いた人もいるでしょう。
値下げでは無い
ソフトバンクは、50GBで7480円から、20GBで4480円に。
容量を減らして安いプランにしたのです。
容量単価を見れば一目瞭然ですが、これは値下げでは無く、むしろ値上げですよね。
KDDIは容量無制限で7650円から、20GBで3980円に。
これも、よく見たら、値上げですよね。
そしてドコモは、60GBで7150円から、20GBで2980円に。
これまた値上げです。
ところが、総務大臣を含めて多くの人が、別の面に目を奪われました。
そうです。
ahamoはソフトバンクやKDDIよりも安い、と言う面です。
確かに3社で比較すれば、ahamoは一番安いのですが、それは相対論(比較論)ですよね。
いま書いたように、ソフトバンクもKDDIも値上げしたので、それよりも安いahamoも、やはり値上げになっているのです。
でも、他社よりは安いと言う点にだけ目が行ってしまっているわけです。
相対論だけに注目してしまって、絶対論が抜け落ちています。
絶対論で言えば、3社とも値上げしたのです。
そもそも、総務大臣は値下げを要請していたはず。
つまり、絶対価格を下げろ、と。
なのに、結果として他社との相対価格だけを見て、総務大臣までもが満足してしまっています。
値上げされたのに。
論点が、絶対論から相対論、値下げから他社比較に変わってしまっているのに、それに気付かない総務大臣その他大勢の人々。
いったい、値下げ論はどこへ行ってしまったんでしょうか?
それとも、1キログラムで1000円のチーズが、後から、300グラムで400円になったら、
やったー値下げだー!
と喜ぶべきなんでしょうか?
まあ、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの中の人たちは、値下げをせずに、まんまと論点をすり替えたので喜んでいるでしょうね。
日本の営業利益額ランキングの上位5社までに大手携帯電話キャリアが3社とも入っています。
やっぱり、儲かるんですね〜。
総務大臣がこんな調子ですから。