不動産賃貸業
新型コロナウイルス騒ぎで、世の中が自粛ムードになっています。
当然、景気は悪化します。
みなさん、乗数効果って知っていますか?
例えば、政府が、景気を刺激するために財政出動します。
具体的に言うと、道路工事などを民間業者に発注するわけです。
道路工事代金が1億円だとしましょう。
つまり、民間業者が1億円のおカネを得るので、景気刺激効果は1億円分です。
しかし、その民間業者が得た1億円は、光熱費の支払いや人件費などに使われます。
つまり、電力会社や従業員の給料に行くわけですね。
すると今度は、おカネが電力会社の従業員に行ったり、工事業者の従業員が給料を使って買い物をして、おカネが別の店に行くわけです。
つまり、最初に政府が払った1億円は、そこで留まるのでは無く、どんどん使われるコトで、1億円以上の効果を生み出します。
これを乗数効果と言います。
1億円の財政支出で1億円よりも大きな効果を生み出す、景気刺激策です。
まさにおカネは廻る、ですね。
今の自粛ムードで、不動産賃貸業が影響を受けています。
負の連鎖
多くの人は、企業の倒産は業績不振で起こると思っていますが、実は、倒産とは、おカネを支払えない状態を言います。
例えば、過去、パナソニックやソニーのような大企業が数千億円もの赤字を出した年がありますが、それでも倒産しませんでした。
なぜなら、過去に積み上げてきたおカネや銀行からの融資によって、おカネをきちんと払ったからです。
これと真逆で、黒字倒産と言うコトもあります。
例えば、企業が材料を仕入れて製品を作り売る。
個人を相手に売るのなら、売上代金はその場で現金でもらえますが、法人取引きだと、支払いは後払いですよね。
つまり売掛金。
仕入が先なので、その仕入代金を支払うタイミングも先にやってきます。
いくら業績が好調で製品がたくさん売れても、材料の仕入代金を払えなければ倒産です。
細かく言えば、不渡りを2回出せば銀行取引停止となり、事実上の倒産ですが、ここでは話をカンタンにするために、そこはざっくりと行きます。
また、たくさん売れたのに、いざ、売上金が回収できるタイミングで、取引先が倒産するコトもあります。
こうなると、入って来るはずだったおカネが回収できません。
自分は業績好調なのに、他の企業の影響で、自社まで倒産するコトもあるわけです。
今、政府の要請によって、多くの店舗が休業しています。
一般的に、店舗は、自社ビルで開業するコトは少なく、ビルのオーナーから1室を賃借して改行します。
つまり、家賃が発生するのです。
当然、家賃は、売上の中から払うわけで、今のように、休業してしまうと、家賃を払うおカネが入ってきません。
そこで、家賃が滞るわけです。
国も色々と考えていて、例えば、ビルのオーナーに、家賃を猶予してもらうような話。
店舗が家賃を払えなければ、閉店して出て行くしかありませんが、そうすると、従業員は失業です。
全国でそれが起これば、大量の失業者を生み出します。
そこで、オーナーが家賃の受け取りを猶予する。
確かに、これはこれで、店舗は少しは助かるんですが、今度は、ビルオーナーの収入が無くなります。
多くのビルオーナーは道楽でビルを経営しているわけでは無く、それ自体がビジネスです。
つまり、ビルオーナー側におカネが入って来なくなり、その管理会社などの給料が払えなくなります。
で管理会社が倒産し、従業員が失業。
失業者が増えれば、その人たちは買い物をできなくなるので、今度は、他の様々な店の売り上げが減り明日。
これ、さっき書いた乗数効果の逆ですよね。
つまり、目先の支払いが滞ると、その先のさらにその先のさらにその先までずっと連鎖します。
不況はこうやって拡大していきます。
乗数効果の恐ろしさです。
失業と言うのは、言い換えれば、現役世代の収入が無くなるコトを意味しますよね。
すでに引退して年金などで暮らしている人たちのコトを失業者とは呼ばないので。
ご存じの通り、日本の年金は賦課方式。
現役世代が年金受給世代の人たちに年金を払っているわけです。
失業者が増えると言うコトは、現役世代の収入が減ると言うコトなので、支払われる年金の財源も減ると言う意味です。
つまり、高齢者に年金を払いたくても、払うカネが無い、と言う状態です。
いくら高齢者の人たちが、
「老人を見殺しにする気か!」
と叫んでも、無いモノは払えません。
今、日本で起こっているコトは、そう言う状態です。
新型コロナウイルスを直接の原因として無くなる人だけでは無く、それによる自粛で発生する不況の乗数効果。
そこから生まれる貧困の連鎖。
新型コロナウイルスが無かった昨年まででも、日本では年間の自殺者数が2万人。餓死者が2千人。
今年は、間違いなく、昨年を大幅に上回るのは容易に予想できます。
今日、4月23日時点で、日本のコロナ死者数は300人ほど。
いかに、経済での死者数の規模が大きいか、わかりますよね。
今、直接にあなたの勤務先に問題が無くても、乗数効果によって、取引先にまで不況が拡大すると、いずれ、あなたも職を失うかも知れません。
コロナ撲滅が先か、経済対策が先か、では無く、同時並行に緊急にやっていかないといけないのが現状です。
コロナ防止が大事だとか、経済が優先だとか、議論している無意味な人たちに知ってほしくて書きました。
コロナも経済も、どちらも死につながる重要事項なのです。