ベースアップ
日本企業にベースアップ廃止の動きが出てきていますが、大手銀行の三菱UFJでも廃止のようです。
ベースアップと言うのは要するに、全従業員が仲良く給料アップと言う話なので、企業にとっては大きなコストになります。
企業業績と言うのは毎年変動するので、毎年のようにベースアップするのは、ある意味、矛盾ですよね。
例えば、売上が1億円しか上がっていないのに、人件費が2億円上がれば、上昇分は赤字です。
ベースアップは企業の成長が前提なんですよね。
で、今後、日本は人口が減少しますし、海外との競争も激化します。
要は、企業の成長が見込みにくくなりました。
能力主義
さっき書いたように、1億円の増収で人件費が2億円も増える、そんなコトを繰り返していたら、企業は潰れます。
だから、もうベースアップと言う考え方はやめようと言う話なんですね。
それよりも、たくさん儲かったら、たくさん従業員に還元しよう、と言う考え方です。
今までの給料の制度だと、業績が2倍になったからと言って給料が2倍になるコトはありませんでした。
でも、能力主義だと、それが起こり得ます(もちろん制度によりますが)。
つまり、稼ぐ能力のある人にはおいしい制度です。
逆に、能力が低ければ給料が半分になるかも知れません。
これも従来は起こり得ませんでした。
もはや、同期とか同僚と言う考え方は意味が無くなります。
同じ年に入社しても、給料が2倍3倍と変わってくるわけですし、翌年は逆かも知れません。
たくさん稼ぐ人には高い給料を。そうでは無い人にはそれなりの給料を。
これを実施すると、理論的には会社は安泰です。
何せ、赤字にならないので。
稼げない人に高い給料を払う必要が無くなるからです。
ある意味、正社員と言っても自営業と同じになるわけですね。
会社が倒産しなくなるので、そこで働く人にとってはチャンスは続きます。
同時にリスクも続きます。
会社経営としては、成長と安全が求められるので、理想的ですが、実際に実施すると、あるひとつの問題が起こります。
それは、社内分断ですね。
従来は会社全体の業績がベースアップの原資になるので、チームワークが大切でした。
会社のためにプラスになる情報は社内で共有すれば、会社全体のパワーになります。
しかし、個人の能力主義になれば、同僚に手を差し伸べるコトにメリットが無くなります。
社内競争に負ければ自分の給料が下がるだけですから。
そうなると、有意義な情報は社内で共有されず、個人が占有します。
その社員だけが有利になりますが、全体としては不利になります。
結果として、会社の足を引っ張るコトになります。
すると、会社が本来稼げるはずの利益を逃すわけですね。
これ、何かを思い出しませんか?
そうです。
囚人のジレンマですよ。
自分のために良かれと思って採る行動が全体最適にならない。
個人の能力主義の導入は、会社のリスクは下げますが、最適化はしない。
ボクにはそう言う未来が見えます。