JPEG
みなさんご存じのとおり、パソコンやスマートフォンなどで見る写真の画像ファイルは、ほとんどが、
と呼ばれる形式です。
JPEGは一般的に、非可逆圧縮と言う方法で、データを圧縮して、ファイルサイズを小さくします。
JPEGが登場したのが1992年。
30年近く、この画像フォーマットが世界の標準として君臨しています。
コンピューターの世界は日進月歩で、例えば、iPhoneが登場してわずか数年で世界を変えてしまいました。
その中で、写真はずっとJPEG。
進歩していません。
非可逆圧縮
1992年と今とではコンピューターの性能は全然違います。
ボクは当時、富士通のFM TOWNSと言うパソコンを使っていました。
メモリは2MB(メガバイト)。
いまボクが使っているiMacのメモリは40GB(ギガバイト)。
約2万倍です。
昔のパソコンは処理速度が遅かったので、JPEG画像を表示するために別売りのグラフィックアクセラレーターカードが必要だったりします。
今ではJPEG画像の表示なんて何の問題もありません。
そう言えば、昔のカーナビってコンピューターの処理速度が遅いので高速道路では使えませんでしたね。
まあとにかく30年近く経てば、コンピューターの色んな仕様は平気で1万倍くらいスペックアップしています。
でも、写真はJPEGのまま。
もちろん30年の間に、様々な新フォーマットも研究開発されましたが、結局、いまでも主流はJPEG。
つまり、他の方式は何かしら問題があってJPEGを置き換えられていないのです。
さっき書いたように、JPEGは一般的には非可逆圧縮。
これは、元のデータを切り捨ててデータのサイズを小さくしているのです。
人間の目には限界があるので、ある程度のデータを切り捨てても、そんなに劣化しているようには見えないわけです。
それを利用して、人間の目をなるべくごまかしてデータを切り捨ててサイズを縮小。
なので厳密に言えば、元のデータと比べると劣化しているわけです。
写真を貴重な資料と捉えるのであれば、元の画像からデータを切り捨てて劣化させてしまうのは、あまり良い方法ではありません。
できれば原画をそのまま保存したいモノです。
そのために、最近はRAW形式で保存できるカメラがほとんどです。
RAWはJPEGと違ってデータを丸ごと保存するので、資料としては厳密です。
ただし、JPEGと違って各社共通フォーマットではありません。
なので、例えば、キヤノンのカメラで撮ったRAW画像は、ニコンのユーザーはそのままでは見られません。
実に不便であり、だからこそ、一般化しないのです。
RAWデータはJPEGデータよりもサイズが何十倍にも大きくなります。
この30年間。
数え切れないほどの膨大な数の写真が撮影され、その大半がJPEGで保存されてきました。
それは、大量のデータを切り捨ててきたコトに他なりません。
それは厳密な資料の保存と言う意味ではマイナスです。
RAWデータはJEPGの数十倍と書きましたが、パソコンの性能は数百倍数千倍数万倍になっています。
昔は、少ないメモリやストレージに何とかたくさん保存するためにJPEGのような圧縮フォーマットが必要でした。
30年経ったいま、もはや容量は大量にあります。
なのに、劣化した画像ファイルであるJPEGが主流のまま。
ボクは、どうやらこれは失敗だと感じています。
音楽や映画などの商業作品は、紛失すれば、また購入すれば手に入ります。
でも、各自が撮った写真は、失ってしまえばそれっきり。
二度と手に入りません。
二度と手に入らない資料は、原画のままで保存したいモノです。
100年後1000年後の人類が21世紀初頭の写真を見たら、大半が劣化データ。
つまり、いまの厳密な画像が手に入らないわけです。
そろそろ可逆タイプの厳密な画像フォーマットがスタンダードになる時代が来ても良いのでは、とボクは思っています。