自動車販売台数シェア
ボクは、経営に関する書物や資料を読むのが大好きで、このブログでも、関連ネタを記事にしています。
今回は、日本の自動車メーカーの状況をヒマつぶしに見てみましょう。
メーカーの規模を比べる場合、販売台数、売上高、利益など、いくつかの指標を見る必要があります。
例えば、みなさんは、日本の自動車メーカーって、どのメーカーが一番たくさんの台数を売っていて、2位以下の台数がどうなっているか、知っていますか?
まあ、1位がトヨタであるコトはわかるでしょうけど、はたして、どれくらいのシェアを持っているのか。
このページを見ましょう。
2,019年の実績が、わかりやすい円グラフで描かれていますね。
台数で言えば、
- 1位:トヨタ:31%
- 2位:ホンダ:14.5%
- 3位:スズキ:13.9%
- 4位:ダイハツ:13.2%
- 5位:日産:11.4%
- 6位:マツダ:4.1%
- 7位:スバル:2.6%
- 8位:三菱:2.1%
日本では、街で見かけるクルマの10台のうち3台はトヨタ車で、2位のホンダはトヨタの半分弱です。
マツダ、スバル、三菱は100台のうち5台も無い状態ですね。
トヨタのクルマは確かによく見かけますが、それでも10台のうち7台近くは他社のクルマなのが意外でした。
スマートフォンで言えば、日本ではiPhoneが台数で42%のシェアなんですよね。
iPhoneに食われまくっている日本のスマートフォン市場と比べると、トヨタですら3割ほどしか無い自動車市場は、わりと競争が活発と言えるかも知れません。
売上と利益
では、台数では無く、売上や利益などの業績はどうでしょうか。
ここにあります。
今年になって新型コロナウイルスの影響はありますが、概ね、この2019年度の決算数値が各社の強さを物語っていると思います。
利益を見てみましょうか。
決算数値を見る際に、当期純利益を見ると、その期の特別な事情が反映されてしまうので、本業の成績を見るのであれば、営業利益を見る方が良いです。
で、その営業利益を見ると、
- トヨタ:24,428
- ホンダ:6,336
- スズキ:2,151
- 日産:-405
- マツダ:436
- スバル:2103
- 三菱:128
単位は、億円ですね。
ダイハツはトヨタの子会社なのでトヨタに含まれているかと思います。
利益の大きさを見ると、台数の規模とは結びつかないのがわかりますよね。
トヨタとダイハツの台数の合計シェアは44.2%です。
しかし営業利益は2位のホンダの4倍近くあります。台数は3倍程度ですが。
日産は赤字。
スズキの営業利益はトヨタの10分の1もありません。台数は3分の1くらいなのに営業利益はずっと小さいわけです。
一方、スバルの営業利益はトヨタグループの8.6%もあります。台数では3%くらいしか無いコトを考えれば、優秀な業績です。
事業をやる以上、最終的に求められるのは利益ですね。
1年間、大勢の人間が一生懸命働いた結果、赤字では事業を行った甲斐がありません。
働いた結果、資産が減るわけですから。
極端に言えば、何もしない方が良かったと言えてしまうわけです。
その目線で言えば、単に台数を多く売るのは必ずしも正解では無いわけですね。
例えば、昔、書いたコトがあるんですが、例えば、史上空前の大ヒット車を生み出したければ、新車を1年で売ればいいんです。
またたく間にトップシェアを獲るでしょう。
でも、大赤字ですね。
それではダメなんです。
AppleのiPhoneは世界のスマートフォンの台数シェアでは14%程度です。
しかし、世界のスマートフォンメーカーの合計利益の60%以上をAppleが稼いでいると言われています。
つまり、14%くらいしか作っていないのに66%も稼いでいるのがAppleで、他のメーカーは86%作って34%しか稼げていない状況です。
わかりやすく言えば、
- 14個の製品を作って66万円もらえるアルバイト
- 86個の製品を作って34万円もらえるアルバイト
前者がApple、後者がその他のスマホメーカー、と言う状態です。
後者はツラそうです。
日本の乗用車メーカーは8社もあって生き残りは難しいと言われていますが、目指すべきは台数の拡大では無いコトは明らかですね。
もちろん、台数を拡大させるコトで費用の削減はできますが、さっきも書いたように安売りでの台数拡大は利益を減らすだけなので、目指すべきは、トヨタやスバル、もっと言えば、Appleの方向性です。
マツダは小さなメーカーで差別化を図っているように見えますが、実は利益率は小さいんですよね。
マツダの世界での販売台数は149万台です。
営業利益は436億円。
一方、ポルシェと言うメーカーは世界でたったの28万台です。
でも、ポルシェの営業利益は44億ユーロ(5,000億円以上)もあります。
要は、ポルシェのクルマは完全に差別化できているので、とても高価でも買う人がいるわけです。
ここで言う高価と言うのは、クルマの販売価格と言う意味でもあるんですが、利益率がとても高い価格と言う意味でもあるわけです。
そう言う意味では、孤高の差別化を狙っているマツダも、実はまだまだ差別化できていなくて、むしろ大衆車をたくさん売っているトヨタの方が営業利益率が高い状態、つまり、差別化できていると言えるわけです。
すでに、スズキもマツダもスバルもトヨタと提携しているので、トヨタグループとして生きる戦略を選択済みです。
一方、ルノーや三菱とアライアンスを組む日産は目先の業績はジリ貧。
ホンダは今のところ、どの自動車メーカーとも提携していません。
ポルシェのように極端に台数が少ないメーカーでも差別化できれば大きく稼ぐコトができていますが、ホンダはトヨタと比べると、台数規模でも利益率でも見劣りします。
資本力がトヨタと比べると弱いので、どうしても開発余力も小さくなり、日本専用車を生み出しにくくなっています。
CR-VもアコードもレジェンドもシビックもNSXも、アメリカンな仕様のクルマを日本で売っていますが、それはそう言う事情なんですね。
トヨタが日本人好みのクルマを次々に送り込むのとは対照的です。
こうやって各メーカーの数値を眺めていると、この会社は強いとか弱いとかが、くっきりと見えてきます。
ヒマがある人は、テレビをぼーっと見てヒマつぶしをするよりも、こうやって、各業界の研究をしてみてはいかがでしょうか。
良いヒマつぶしだと思うんですが。