比例代表73歳定年制
自民党内で、比例代表制の73歳定年制について、意見が分かれています。
カンタンに言えば、高齢の議員は73歳以降も議員でいられるように主張し、若手の議員は、高齢者は引退しろと主張しているわけです。
そこだけ見ると、単なる世代間争いですね。
でも、もうちょっときちんと考えると、そんな単純な話ではありません。
まず、この73歳定年制は法律上の話では無く、あくまでも自民党内のルール。
しかも、比例代表のみ。
ここで、今の衆議院選挙についてカンタンに説明しておきます。
まずは小選挙区制。
これは普通の人が普通に思い浮かべる選挙制度です。
各地区ごとに有権者が投票を行い、得票数1位の人だけが当選する仕組みです。
一方の比例代表制。
これは政党ごとにあらかじめ候補者の名簿を作っておき、有権者が政党名を書いて投票し、一定の得票数になるごとに名簿の上位の候補者から当選していく仕組みです。
例えば、自民党と書いた票がたくさん集まれば、自民党の名簿の上位の候補者が当選します。
議論になっているのは、この比例代表の73歳定年制なのです。
定年は差別と言う議論
73歳定年制に反対する人の理論として、
年齢差別はやめろ、
と言う意見があります。
確かに、能力さえあれば、年齢なんて関係ありません。
優秀な人が年齢を理由に引退させられるのは、国にとってマイナスでしょう。
それを頭に置いておいてください。
ここで、議論を整理する必要がある点は2点あります。
まずはさっき書いたように、これはあくまでも比例代表制の議論であるコト。
比例代表制では、小選挙区制で落選した議員が当選する可能性がありますし、実際、そんな議員は存在します。
よく考えたら、有権者から支持されていないから落選したのに、たまたま政党の名簿の上位に載っているから復活して当選するなんてのは、民主主義の選挙としては不合理です。
ボクは個人的には、比例代表制なんてやめてしまえ、と思っています。
理由は今、書いたとおり。
有権者から支持されていない人が政治家になるなんて納得がいかないわけです。
だから、ボクとしては、比例代表制の73歳定年制には賛成。
それどころか73歳以下の人ですら違和感を感じるくらいですから。
ただし、比例代表制の話になると、もはや自民党に留まらない国政の話なので、そちらで議論が巻き起こる必要があります。
いずれにせよ、有権者の支持を得られない高齢者が政治なんて行って良いはずがありません。
もうひとつの議論は、単純に高齢者の能力問題。
さっき書いたように、高齢であっても能力があれば、政治を行えます。
しかし、その理論で行けば、高齢者が運転免許を返納するコトにも疑問が湧きますよね。
高齢者が、年齢だけで一律、免許を返納するのは矛盾します。
きちんと、運転能力テストを行って、それをパスした高齢者であれば、80歳でも90歳でも運転してもおかしくないわけですよね。
逆に言えば、若い世代でも、試験にパスしなければ免許は取り上げるべきですよね。
自動車の運転は命に関わるので、高齢者は免許を返納すべき、と言う言い方もできますが、それであれば、政治も国民の命に関わるんですよ。
高齢政治家が高齢のために正常な判断能力を失い、それに基づいて法令が施行されれば、それは国民にとって恐ろしい話です。
日本は高齢化社会なので、人口に占める高齢者の数の割合も増えます。
なので、自然に放置していれば、政治家における高齢政治家の数の比率も上がります。
そのとき、はたして正常な判断能力を有するのか。
国民はそのリスクに晒されるわけです。
高齢を理由に自動車の運転を引退すべきならば、まったく同じ理由で政治を引退すべきです。
逆に、高齢者でも優秀なら政治家を続けた方が良いのであれば、自動車の運転も優秀ならば続けられないとつじつまが合いません。
ここまで書いて、ボクの結論。
まず、政治に関しては定年制は不要です。
一方で、比例代表制なんて年齢関係無く廃止すべきです。
選挙区で一度も当選したコトが無い(つまり有権者の支持を得られていない)のに政治家として活動している議員が自民党にいるのですよ。
恐ろしい。
自動車に関しては、年齢関係無く、能力試験をもっともっと厳しくすべきです。
そうすれば、必然的に、運転能力が無い人は、年齢に関係無く不合格になるでしょう。
宅建の試験の合格率は10%程度だと言われています。
一方で、命に関わる自動車の運転免許は、ほとんどの人が取得できてしまう。
おかしいと思いませんか?
ごく一部の限られた人だけが合格するくらいの難易度にすればいいんです。
そうすれば、どうしてもクルマを運転する必要がある人は、死に物狂いで努力するでしょう。