100メートル走
今回は、世の中の多くの人が陥りがちな間違いを指摘してみます。
例えば、A県の30歳の人が1000人とB県の30歳の人が1000人。
それぞれが100メートル走のタイムを計測したところ、
A県の平均が16秒、B県の平均が18秒だったとします。
そして、このコトが報道されたとしましょう。
すると、多くの人が、A県の人って走るのが速いんだ、と思い込みます。
そして、色んな理由を考えるわけです。
食べ物が違うのでは無いか。
南国の方が速い傾向があるのでは無いか。
A県が速かった理由
では、ここで、タネ明かしをします。
実は、A県の1000人は全員が男性。B県の1000人は全員が女性でした。
両性の間には平均的に体力差があるので、速さにも差が生まれたわけです。
つまり、A県とB県の食べ物や立地は関係無く、単純に条件が不揃いだったのです。
これを聞いたあなたはどう思ったでしょうか?
そんなの測定方法がおかしい、と思うでしょう。
その通りなんです。
しかし、現実の世の中では、この、おかしな測定による数値に右往左往している人が多いのです。
例えば、テレビなどで、納豆を毎日食べる人には血液がサラサラの人が多い、と言う統計値が放映されたとします。
すると、健康のために納豆を食べる人が増えます。
これも、おかしいんですよね。
なぜなら、納豆以外のすべての食べ物を統一しないと比較できないからです。
納豆を毎日食べている人が緑黄色野菜をたくさん食べ、納豆を食べない人が毎日、肉食なら、そもそも前提条件がおかしいでしょ?
条件が違えば、納豆が原因とは結論づけられません。
このように、統計値と言うのは、その数値だけをもって因果関係とするコトはできません。
このブログで何度も言って来ましたが、数値と現象は、相関関係をあぶり出すコトは可能ですが、因果関係では無いのです。
数が多いからと言って、原因であるとは言い切れないのです。
たまたまかも知れませんから。
いまホットな話題としては新型コロナウイルスの感染者数がありますね。
感染者数と言う数値に右往左往している人たち。
様々な前提条件をきちんと理解しているでしょうか。
ボクが昔、書いた記事も読んでみてください。
記事の最後の方に書いた、早起きと出世の関係なんて、多くの人が間違えがちですね。
最近では、コロナ患者の中の喫煙者が少ないから、喫煙者はコロナに強い、と言う説を唱えている人がいました。
もちろん、それは間違いです。
喫煙者がコロナに強いかどうかを調べるのなら、コロナ患者の中の喫煙者数を調べるのでは無く、喫煙者の中のコロナ患者数を調べるべきですよね。
分母と分子が逆なんです。
でも、ボクがこう書かないと、気付かない人が多いんですよ。
統計学の、命題、逆、裏、対偶を理解している人なら、きちんと気付くんですが、マスコミに登場する評論家でも、間違っている人が非常に多いのです。
と言うわけで、数値に踊らされる人生は、間違いに踊らされる人生なので、少しだけおりこうになって、正しい判断と正しい行動をしましょう。
間違った行動をすると、命を落とす確率が上がりますよ。
命は大切に。