3つの例文の論理的間違いを見つける
3つの例文を書きます。
年収1000万円の人たちのうち9割は朝5時に起きている。
その情報を聞いて、年収1000万円になりたくて朝5時に起きるようになった人たち。
ダイエットに成功した人たちのうち9割は玄米を食べている。
その情報を聞いて、ダイエットに成功したくて玄米を食べるようになった人たち。
東京大学入試合格者のうち9割はA予備校で学んだ。
その情報を聞いて、東大に入学したくてA予備校に通うようになった人たち。
3つとも、ありがちな話であり、実際にやった人も多いんじゃないでしょうか。
これを読んでいるあなたにお尋ねします。
この3つの文の論理的におかしな点に気付きましたか?
そうです。
今回はボクの大好きな、そしてこのブログでおなじみのロジカルシンキングの話題です。
朝5時に起きる
実は3つとも、原因と結果を間違えた行動をしているのです。
年収1000万円になりたい人たちが、年収1000万円の人たちの行動を見て真似ているわけですよね。
一見、正しいように見えます。
そこで、年収1000万円の人のうち9割の人は朝5時に起きていることを、もう少し具体的に考えてみましょう。
年収1000万円の人が1000人いるとします。すると、そのうちの900人は朝5時に起きています。
これは母集団が年収1000万円の人たち1000人であって、その中の900人が朝5時に起きているだけです。
もし、年収1000万円になりたいのなら、年収1000万円になる確率が高い行動を選ぶべきです。
すでに年収1000万円の人の行動を真似ても大した意味はありません。
もし、
朝5時に起きている人たちの9割は年収1000万円だ。
と言う情報ならば、朝5時に起きるべきでしょう。
なぜなら、9割の確率で年収1000万円になれるからです。
比べてみてください。
年収1000万円の人たちのうち9割は朝5時に起きている。
朝5時に起きている人たちの9割は年収1000万円だ。
逆ですよね。
年収1000万円の人たちのうち9割は朝5時に起きている。
だと、朝5時に起きることは年収1000万円になることと何の関係もありません。
わかりやすい数字で言えば、朝5時に起きる人が100万人いて、その中で年収1000万円の人は900人だと言う場合です。
上の図で見てわかるように、朝5時に起きても、そのうち年収1000万円になれるのは、0.1%です。朝5時に起きてもほとんど可能性ゼロです。でも、年収1000万円の人たちの9割は朝5時に起きてますよね。
つまり、
年収1000万円の人たちのうち9割は朝5時に起きている。
と言う情報に飛びついても意味はありません。
玄米を食べる
ダイエットに成功した人たちのうち9割は玄米を食べている。
この文を見て、ダイエットを成功するために玄米を食べるのも間違いです。
真似するのべきなのは、
玄米を食べている人たちの9割はダイエットに成功している。
と言う文ですね。
比べてみましょう。
ダイエットに成功した人たちのうち9割は玄米を食べている。
玄米を食べている人たちの9割はダイエットに成功している。
逆ですよね。
やはり図で書いてみましょうか。
この図を見ればわかるように、確かにダイエットに成功した人の9割は玄米を食べていますが、だからと言って玄米を食べたからと言ってダイエットに成功する確率は0.1%しかありません。
A予備校に通う
最後も全く同じ。
予備校の宣伝文句にありがちですね。
東京大学入試合格者のうち9割はA予備校で学んだ。
A予備校の宣伝として書くのなら、このロジックはおかしいわけです。
A予備校で学んだ人のうち9割は東大入試に合格した。
ならば正しいわけです。
やはり比べてみましょう。
東京大学入試合格者のうち9割はA予備校で学んだ。
A予備校で学んだ人のうち9割は東大入試に合格した。
前者を図に書くと次のとおりです。
東大入試に合格した人の9割は確かにA予備校で学んでいますが、でも、A予備校で学んだ人の0.1%しか東大入試に合格していません。
だから、A予備校で学ぶことは東大合格への近道でも何でも無いわけです。
まとめ
以上、見てもらって理解できましたか?
少なくとも、上記のような宣伝をしている予備校があれば、その予備校は自ら、頭が良くないことを宣伝してしまっています。
これらの話は、実際に世の中でよく見かけるタイプの話の一部にすぎません。
同じ間違いは、テレビのコメンテーターであろうが学者であろうが、ホントに多くの人が犯しています。
気付いていないんですね。
何らかの目標がある場合、それに向けて正しいやり方を選ばないと達成できません。
多くの人が間違っていると言うことは、正しい論理的思考力を身に付ければ、少数派になれると言うことです。
このブログの読者のみなさんは、ぜひ、多くの間違っている人たちの側では無く、少数の正しい人たちになってくださいね。