現象と因果
こんにちは。
ネットで誤った情報を正しいと信じ込んでしまう人が多いので、軽くレクチャーしておきます。
例えば、ボクが、とあるビタミン剤を飲んだとします。
その直後から、ボクが腹痛を起こし、トイレに駆け込んだとします。
そんな現象が10日間連続で起こったとします。
すると、こんな説が成り立ちます。
そのビタミン剤は腹痛を誘発する。
で、この現象が明らかになると、ネット上に、その情報が流れ、拡散されます。
ホントに、これは正しいのでしょうか。
ビタミン剤と腹痛に因果関係はあるのでしょうか。
現象の要因
上記の現象をタネ明かしすると、実はボクは、ビタミン剤を飲む直前に毎回、下剤を飲んでいました。
下剤
↓
ビタミン剤
↓
腹痛
腹痛でトイレに駆け込む原因は下剤でした。
しかしネットには、
そのビタミン剤は腹痛を誘発する。
と言うニセ情報が拡散します。
このブログで何度も書いて来ましたが、相関関係と因果関係と言う言葉があります。
この2つを混同する人が、非常に多いんですよね。
ビタミン剤と腹痛は、相関関係にあります。
下剤と腹痛は、因果関係にあります。
相関関係は、お互いに原因でも結果でも無いけれど、関連した動きをする関係です。
上記の例では、ビタミン剤は腹痛の原因では無いけれど、ビタミン剤を飲むたびに腹痛が起こりました。
つまり、因果関係では無いけれど相関関係です。
この、単なる相関関係を、因果関係だと思い込んでしまう人が非常に多いんです。
喫煙者数は減っているけれど、肺ガン患者は増えている、と言うデータがあります。
だから、禁煙した方がガンになりやすい!
と言っている人がいるんです。
相関関係を因果関係だと思い込んでしまっているわけですね。
肺ガン患者が増えているのは、食生活の変化や高齢化、環境の変化など、様々な要因があります。
タバコを吸う人が減り続けている一方で肺ガン患者が増えているのは事実ですが、それは、タバコを吸う人が減り続けているから肺ガン患者が増えているわけではありません。
これを理解できない人が、
だから、禁煙した方がガンになりやすい!
と言ってしまうわけです。
じゃあ、これからどんどんタバコを吸えば、肺ガン患者は減っていくのかと言えば、もちろんそんなコトはありません。
非喫煙と肺ガンは因果関係では無いからですね。
単なる相関関係です。
他にもネット上には、いや、テレビやラジオや雑誌や新聞でも同じです。
とにかく、相関関係を因果関係だと思い込む人が非常に多いのです。
たぶん、あなたもそうです。
- ●●ワクチンを接種したら、副作用が出た。
- 血液クレンジングをしたら、体調が良くなった。
- 鉄塔の下に住んだら、頭痛が起こるようになった。
見覚えあるでしょ。
まさに、ビタミン剤を飲んだら腹痛を起こした、です。
いくらでも事例はあります。
それらはあくまでも相関関係なんですが、因果関係と思い込んで、間違った対処をしてしまいます。
冒頭の例で、腹痛を防ぐためにビタミン剤を禁止しても意味は無いのです。
病気を治すには、病気の正しい原因を知る必要があります。
間違った治療をしても治りません。
間違った知識、間違った思考に基づく行動は、命に関わるのです。
感情論での好き嫌いで嫌悪するのは勝手ですが、好きか嫌いかと、事実かどうかは別の話です。
ネットで何か事件を知ったとき、条件反射で感情的になる前に、それがロジカルかどうかを考えてみてください。
それができない人が多いので、単なる思い込みで判断してしまう人が多いので、事件とは無関係な人が誹謗中傷を浴びるのです。