長さ1メートルの棒
長さ1メートルの棒を思い浮かべてください。
鉄の棒でも木の棒でも結構です。
固い棒です。
その棒の一方から押せば、当然ですが、反対側へ棒は動きます。
わかりやすく言えば、ビリヤードのキューですね。
キューを後ろから押して前に突き出してボールを押し出します。
そのキューの動きだと思ってください。
押した瞬間にキューは前に出ます。
当たり前ですね。
1光年の長さの棒
光年と聞くと「年」が含まれているので時間の単位だと思ってしまいそうですが、長さの単位です。
光が1年間に進む距離で、約9兆5千億キロメートルです。
では、さっきと違って、約9兆5千億キロメートルの棒を思い浮かべてください。
1光年の長さの棒です。
そして、同じように、棒を押し出してみてください。
当然ですが、1光年先にある棒の先端が同時に押し出されます。
光ですら到達するのに1年もかかる距離ですが、棒を押し出したら、先端が同時に押し出される。
つまり、チカラの伝わる速さは光よりも速い!
ボクはそう思っていましたが、根本的に間違っています。
相対性理論や量子力学についてのカンタンな記事を何本か書きましたが、それらに基づけば、チカラの伝わる速さは一瞬ではありません。
すごく不思議に感じるかも知れませんが、イメージしてみてください。
棒は、たくさんの分子でできています。
何億個、いや、何兆個。
それらが集まってできています。
棒をこちらから押せば、こちらの端の分子が隣の分子を押し、その分子がさらに隣の分子を押します。
それをずっと繰り返して、最終的に棒の全体が移動するのです。
そして、実は、そのチカラの伝達の速さは、光の速さよりも遅いのです。
なので、1光年の長さの棒をこちらから押し出せば、1光年先にある棒の先端が押し出されるのは、1年以上も先なのです。
同時では無いんですね。
てコトは、固い棒であっても、実はグニャグニャなんですね。
もちろん、1メートルの長さの棒なら、短すぎて、人間の目には、その「ゆがみ」は見えません。
あくまでも宇宙のスケールだからこそ起こる現象です。
ロマンがあると思いませんか?