学歴の論じ方がおかしい
俳優の佐藤二朗と言う人が、こんなツイートをしていて話題になっていました。
一流大学?勿論入れた方がいい。一流企業?勿論入れた方がいい。ただ息子よ。父いま酔ってる。酔ってるが言いたい。人の不幸をちゃんと悲しむ。人の幸せをちゃんと喜ぶ。そっちの方が、遥かに、遥かに尊い。綺麗事か。綺麗事かもしれんが、酔ってる父は、わりと、それを断言したい。
— 佐藤二朗 (@actor_satojiro) 2018年3月11日
ボクは、この人の存在を知りませんでしたし、この人に何の先入観も偏見もありません。どんな人かも知りません。
なので、この発言だけに絞って、これからボクの考えを書きます。
世の中には学歴が必要だと言う人と、学歴なんて不要だと言う人がいます。
人間とは、基本的には自己弁護の生き物なので、自分が高学歴であれば、学歴を支持しがちになるでしょう。
そもそも学歴なんて不要だ!なんて言う人が高学歴な道を選ぶのは矛盾しますから。
で、高学歴が良いか悪いかを論じる際に、多くの人が、ズレちゃうんですよ。
Twitterでこんな主旨のことを言っている人がいました。
「高学歴でも何にもできない人と、アクティブで起業したりボランティアしたり、何かを極めたりした低学歴な人とでは、後者の方が良い。」
この人に限らず、この手の発言をする人って、意外と多いんです。
要は、学歴よりももっと大事なことがあるんだぞ!
ってことですね。
これ、ロジックがおかしいですよね。
学歴の善し悪しを論じるのであれば、学歴以外の条件を揃えないとダメですよね。
例えば、Aと言う自動車とBと言う自動車の走る「速さ」を論じるのであれば、両者とも同じ条件で走らせる必要がありますよね。
A車はアスファルトの道路、B車は砂利道、だったら、速さの比較にはなりません。
それでA車が勝ったからと言って、速さの面でA車が優れているとはなりません。
速さに関して比較するなら、両車とも同じ道路で走らせないと意味が無いですし、他の条件も揃えないと無意味です。
あるいは、A車は内装が良いけどB車はダメだ、と言うのも、それは内装の話であって、速さの比較にはなりません。
2つの事象を比較するのであれば、条件を揃え、かつ論点がズレないようにする必要があります。
学歴の善し悪しを論じるのも同じです。
さっき書いた、
「高学歴でも何にもできない人と、アクティブで起業したりボランティアしたり、何かを極めたりした低学歴な人とでは、後者の方が良い。」
と言う主旨自体がおかしいんです。
正しくは、
「アクティブで起業したりボランティアしたり、何かを極めたりした高学歴な人と、アクティブで起業したりボランティアしたり、何かを極めたりした低学歴な人とでは、後どちらが良いか。」
と言うべきですよね。
つまり学歴以外の条件を揃えるわけです。
そこで、冒頭の佐藤二朗さんのツイートも気になるわけです。
学歴の話と、人の幸・不幸の話は関係無いですよね。
人のことをきちんと理解できる高学歴者もたくさんいますから。
物事の比較は条件を揃えるべきなのに、なぜか、学歴の話をするときに限って、心の問題を混ぜてしまう人が実に多いんです。
学力よりも思いやりだ!
みたいな。
いやいや、思いやりなんて、あって当たり前。
それと学歴の善し悪しとはまったく別の話です。
苦労を知る人は他人の苦労もわかる
生まれつき英単語を知っている人も数学も歴史も知っている人もいません。
勉強する中で身に付けたモノです。
努力です。
ボクの最終学歴は大阪大学ですが、ボク自身は学歴の重要性については大した意味を持たせていません。
ボクが小学生の頃、たまたま家族ドライブで大阪大学の近くを走ったときに、ボクの父が、
「大阪大学なんて夢のまた夢。」
みたいなことを言ったのを、ボクは高校生になってから思い出したんですよ。
で、ボクは思ったんですよね。
大学受験なんて、努力の量で決まる。夢では無い。
日本で誰よりも受験勉強すれば合格するはず。
で、実際にそうしたんですよ。
もちろん、ボクが当時、日本一勉強したかどうかはわかりません。もっと上もいたでしょう。
ただ、多くの受験生が寝ている間も努力したのは事実です。
ホントに苦労したのを覚えています。
大阪大学が高学歴かどうかは、ボクにはわかりませんが、父がそのつもりで言ったのなら、それを信じて言います。
高学歴には努力・苦労が必要なんですよ。
だから、学歴の話と心の話を混同する多くの人に言いたい。
サボることを考えるよりも、努力してがんばる人の方が心が立派だと思うんですよね。
何の苦労もせずに育った人よりも、苦労を知る人は、他人の気持ちもわかるんです。
ボクは自分が震災被災者だからこそ、こんな記事を書きました。
自分の震災の経験が他の被災者の気持ちを理解させる。
人間は経験の生き物です。
だから、高学歴な人と心の問題を比較するのは間違い。
高学歴で苦労人で立派な心の持ち主はたくさんいるんですから。
高学歴だから心が冷たいわけでは無いんです。
学んだことがデメリットになることはありません。
長い人生のどこかで役に立つこともあります。
だから、努力を怠らないでください。
高学歴で心も優しい。とても良いことだと思いますよ。
最後に。
冒頭の佐藤二朗さん。
ボクは彼を批判しているのではありません。
そもそもまったく知らない人ですし。
今回のような話をする多くの人たちの代表として意見を引用させてもらいました。
それだけです。勘違いしないよーに。