事業投資
金持ち企業のランキングが発表されましたね。
たくさんおカネを持っている、儲かっている、優良企業、その発想はボクはちょっと短絡的だと思います。
まず、こんな例え話を書いてみます。
Aさんが、
「私に1000万円を預けてくれれば、それを元手に事業を行い、儲かったら、私の取り分や経費を引いて、残りをお返ししますよ。」
それを聞いて、BさんはAさんに1000万円を預けました。
これは当然、リスクがあることです。
Aさんの事業が成功するかどうかはわかりませんから。
そして、Aさんは事業を行い、見事に成功して、事業で3000万円の収入を得ました。
そこから、自分の取り分である800万円と事業の経費の200万円を引き、残りの2000万円をAさんに返しました。
これはつまり、
- Bさんは1000万円を投資して、2000万円に増やした。
- Aさんは働いて800万円儲けた。
と言うことです。
実は、この話、そのまま株式会社に当てはまるんですね。
株と言う形で投資家から資金を集め、そのおカネで、経営者と呼ばれる人が事業の経営を行い、売上の中から人件費や各種経費を引いて、残ったおカネを利益とする。
当然、その利益は、株主のモノです。もちろん税金は引かれますが。
キャッシュ
さっきのAさんとBさんの話で、Aさんが2000万円をBさんに返さずに、それでさらに大きな事業をして、今度は収入が5000万円あったとします。
そこから自分の取り分1000万円と事業の経費400万円を引いた残りの3600万円をBさんに返します。
この場合は、最初から見れば、
- Bさんは1000万円を投資して、3600万円に増やした。
- Aさんは働いて1800万円儲けた。
さっきより、さらに増えています。
つまり、最初に事業投資して儲かったお金を次の事業に回して、さらに増やしたわけです。
株式会社で言えば、利益を株主に返せば、配当。
配当をするか、それとも配当せずに、さらに次の事業につぎ込んで、もっと大きく儲ける。
これは経営者の手腕です。
良く、配当利回りの高い会社が賞賛されることがありますが、それは逆に言えば、そのおカネをもっと増やす機会を失っていると言えます。
事業を成長させる余地が無いので、配当として株主に返してしまう。
そう考えれば、配当の高い会社が必ずしも株主にとってお得とは限らないわけです。
では、次のような場合はどうでしょうか。
BさんがAさんに1000万円を預けました。
Aさんはそれを使わずに手元に持ったままでした。
Aさんは1000万円を持っている人です。自分のおカネではありませんが。
この状態がキャッシュリッチです。
変な話ですが、おカネ持ちです。
この状態って、AさんにもBさんにも良く無い状態です。
単にAさんがおカネ持ち。
ボクの言いたいこと、何となくわかってきたでしょうか。
企業が保有するおカネと言うのは、その発生原因と、この先の使い方が重要なのです。
金持ち企業だから優良、と言う短絡的な判断はできないってことです。
おカネを積極的に使って新規サービスをどんどん開発して成長している企業もあります。そんな企業は、おカネをあまり持っていません。
Amazonなんかが有名ですね。
Amazonは大して利益が出ません。
株主にとっては配当があまりもらえないので、配当の目線だけで判断すれば、損な感じがします。
また、上記の様な金持ち企業ランキングの点でも、優良な感じはしません。
でも、多くの投資家がAmazonの株を買います。ボクも持っています。
なぜなら、事業投資に賭けているからです。
目先の配当より、将来の収益性。
株価は期待値を表します。
現に、Amazonの株は、ボクが保有しているここ2年ほどで2倍くらいに上がっています。
これはつまり、Amazonが事業投資して成長して将来、大きな収益をもたらすと言うことを多くの株主が期待していることの表れです。
配当利回りとか、金持ち企業とか、そんなのは企業の評価の一部に過ぎないことを知っておいてください。
むしろ、それらの数値が大きい企業ほど、将来の見通しが暗い可能性があると言うことも。