為替
ボクが金融業界出身者だと言うコトもあり、金融商品について質問を受けるコトがあります。
以前、友人から、外貨預金とFXについて教えて欲しいと言われました。
人によってリテラシーレベルが異なるので、人に合わせて説明をするのはなかなか難しいんですが、ボクは、為替関係の説明をするときには、とりあえずリンゴを例に出します。
リンゴを1個100円で買います。
そしてリンゴが110円になったときに売れば10円の儲けですよね。
実は為替も全く同じ。
1ドルを100円で買います。
そして1ドルが110円になったときに売れば10円の儲けです。
リンゴ1個が100円から110円になれば、リンゴ高。
1ドルが100円から110円になれば、ドル高。
リンゴが高くなったりドルが高くなると、相対的に、円は安くなったと言うコトです。
1ドル100円から1ドル110円になれば、円安ドル高です。
円の数字が増えているので円高だと思ってしまいそうですが逆です。
外貨預金とFX
外貨預金もFXも同じです。
さっき書いたように、為替の変化によって儲けを狙う仕組みです。
でも、外貨預金を扱う業者やFXを扱う業者も儲ける必要がありますよね。
業者はどうやって儲けるのか。
それは、スプレッドと言う仕組みを使います。
例えば、1ドルを100円で買って、すぐにその1ドルを売って円に戻せば100円ですよね。
でも、外貨預金業者にそれをやってもらうと、99円しか返してくれません。
1ドルを100円で買って、その1ドルを返したのに100円では無く99円しかくれないんです。
1円減ってます。それが外貨預金業者の儲けです。
では例えば、上に書いたように、1ドルを100円で買って、1ドルが110円に上がってからドルを売ったらどうなるでしょうか。
その場合は、業者から109円を渡されます。
やはり1円を取られるんですね。
今度は逆に、1ドルを100円で買って、1ドルが90円に値下がりしたときにドルを売ったらどうなるでしょうか。
この場合は、89円になります。
これまた業者は1円を取るわけです。
つまり、お客が為替で損しても得しても変化しなくても、外貨預金業者はいつも1円を儲けるようにできているわけです。
為替が変化しなくても1円分を取られてしまうと言うコトは、1ドルを100円で買ったら、1ドル101円まで上昇して初めてプラスマイナスゼロですよね。
1ドルが100.5円になったときは、為替の上では儲けているはずなのに、手数料を取られるので、結局は損と言うわけです。
要は、外貨預金と言うのは、本来は、為替が上がるか下がるか50%の確率で損得が決まるハズなんですが、実際には1円分を取られるので、儲かる確率としては50%を下回る、少し不利なギャンブルなんですね。
たかが1円と思うかも知れませんが、これは1ドルあたりの金額です。
100ドル買えば100円取られますし、10000ドル買えば10000円取られます。
(業者によって額は多少異なります。)
1ドルを100円で買ったのに99円しか返してくれない。
この差のコトを、スプレッド、と呼びます。
一方、FXの場合、スプレッドがかなり小さいんです。
外貨預金の場合、スプレッドが1円の業者が多いですが、FXの場合は高くても2銭。業者によっては、0.6銭など。
知っていると思いますが、1円は100銭です。
なので、FXのスプレッドは外貨預金と比べて、めちゃくちゃ小さいんです。
要は、お客が損する金額が小さいと言うコトですね。
それを知っているので、ボクは、外貨預金とFXとで迷っている友人には、迷わずFXの方が有利と説明しました。
FXにはレバレッジと呼ばれる仕組みもあって、レバレッジを高くするとリスクも上がるんですが、逆に、レバレッジを掛けなければ、外貨預金と全く同じです。
つまり、FXが外貨預金と比べて不利な点は何も無いわけです。
でも、その友人はどうしたか。
外貨預金を選びました。
理由は、FXは知らない業者が多いのに対して、外貨預金は有名な銀行が扱っていて安心だから。
実際には、FXも、業者が倒産しても財産は守られるようになっているので、安心度で言えば銀行と変わらないんですけどね。
むしろ確実に大きなスプレッドを取られるので、FXと比べて必ず損失が大きいわけです。
業者が倒産する確率よりも、スプレッドで損する確率の方がはるかに高いわけです。
はるかに高いと言うより、1ドルにつき1円分、確実に損するわけです。
それでも、何となくのイメージで外貨預金を選んでしまう友人。
世の中には、金融商品でも保険でも不動産でも何でも、具体的なロジックよりもイメージ先行で選択してしまって損している人が多いんですよね。
ボクにとっては残念な出来事でした。
まあボクは銀行ともFX業者とも無関係なので、あくまでも友人の自己責任なんですが。