不動産投資
ボクは現在、不動産管理業と言う仕事ですが、出身は銀行やら保険やらファンドやら。
同僚と話をしていても、かみあわないのです。
なぜなら彼らは賃貸不動産の管理の知識はあっても、それ以外の知識が無いので。
ホントはそれでは良くないんですけどね。
例えば、その賃貸マンションのオーナーは、なぜ賃貸経営をしているのか、みたいな話をできれば、オーナーとの話もはずむんですが、ボク以外の人は全然できない状態です。
今、ボクが管理しているマンションのオーナーさんが別のマンションを買いたいと言っているんですが、その話を同僚にすると、同僚は、
「よくおカネがありますねえ。」
と言うんです。
もうその時点では彼は不動産投資の知識が全然無いことがバレバレです。
賃貸不動産管理の仕事とは言え、本当に管理の仕事だけを知っている人と、もっと全体的なことを知っている人とでは、オーナーさんの受けが全然違います。
例えば、今の日本の税制では、空き地に賃貸物件を立てれば、節税対策になるんですが、オーナーの大きな目的は、まさにそれだったりするわけです。
賃貸管理業の人間も、せめてそれくらいは知っておきたいところですが、残念ながらそこまで話ができる同僚は皆無です。
マンションを買う
と言う文にはいくつかの意味があります。
- マンションの1室を買って自分で住む
- マンションの1室を買って人に貸す
- マンションの1棟を買って人に貸す
主にこの3つですね。
で、下の2つをマンション投資と言います。
いずれにしても、多くの場合は現金一括でポンっと買うことは少ないです。
借り入れ(ローン)を起こして返済していくのです。
例えばマンションの1棟を買う場合を考えてみましょう。
話を簡単にするために余計な要素は省きますね。
マンションの購入価格が1億円。
戸数が10戸。
1戸の月額家賃が10万円。
マンションを運営する経費(廊下の電気代や清掃費)が年に100万円。
すると、月に100万円の家賃が入ってくるので、年間の家賃収入は1200万円ですよね。
そこから経費の100万円を引くので、年間の利益は1100万円です。
つまり、このマンションを1億円で買えば、毎年1100万円のおカネが手元に残ります。
10年ほど持てば、元を取れる計算ですね。
そこで、
「1億円も出せる人はいいなあ。」
と言う発言になるわけです。
実際にはそんな人はほとんどいません。
1億円は銀行から借りるのです。
例えば、1億円を銀行から借りて、そのおカネでこのマンションを買って、銀行には毎年700万円ずつ返す契約だとしましょう。
返済期間は20年だとします。するとトータルで1億4千万円返すことになりますね。
1億円の借り入れで1億4千万円の返済なので4千万円部分は利息です。
さっき書いたように、このマンションでは毎年1100万円のおカネが手元に残るので、そこから700万円のローン返済をすると、最後に残るのは400万円。
つまり、このマンションを買うことで、毎年400万円が利益として残るのです。
わかりますかね。
財務レバレッジ
買うために1億円も用意しなくていいんです。それは銀行から借りられますから。
そしてちゃんと利息も返済して経費も払った上で、毎年400万円の儲け。
これが不動産投資のチカラです。
ただし、このマンションの戸数が10戸で、1戸の家賃が10万円なので、1戸が空室になれば年間120万円のマイナス、つまり、年間の儲けは280万円に減ります。
2戸が空室ならば、年間の儲けは160万円に、3戸が空室なら、年間の儲けは40万円に。
4戸以上空室なら赤字ですね。
不動産投資のメリットとデメリットをわかってもらえたでしょうか。
もちろん銀行が不動産全額に融資(レバレッジが100%)してくれるとは限りませんが、今回は、話をわかりやすくするために、あえてこのように書きました。
まあ、この記事の趣旨はそこでは無いんですけどね。
さっき書いたように、ボクの同僚が、
「よくおカネがありますねえ。」
と言っているのが、不動産業界に身を置く人間としてちょっと物足りないと言うか。
不動産業界というのは、実は銀行が牛耳っているのです。
この2016年、銀行の不動産融資額がバブル期を超えたらしいです。
わずか20年ほど前に銀行は過剰な不動産融資で手痛い目に遭ったばかりですが、歴史は繰り返すのか、そのうち崩壊するのか、それとも東京オリンピックまでは持つのか。
みなさん、投資と言うのはおカネの有り無しで決まるのでは無く、資金調達によって決まると言うことを知っておいてください。
うちの同僚は全体的に勉強不足なので、もっともっともっともっと勉強してほしいのですが。