iPhoneは世界を変えた
2007年1月9日にiPhoneが登場して13年。
歴史上で、世界を変えた製品はいくつかありますが、iPhoneもそのひとつでしょう。
iPhone登場後は、世界中にスマートフォンが普及し、人々の生活が変わりました。
外出先でネットを使うのが当たり前、その場ですぐにネットで調べるのが当たり前、他人とSNSでコミュニケーションするのが当たり前、そんな世の中はスマートフォン搭乗前には考えられませんでした。
スペックの問題では無い
最近のiPhoneは革新的では無いと言う声が多く聞かれます。
そりゃそうですね。
初代のiPhoneだけが革新的であり、それ以外のiPhoneもAndroidもすべて、革新的ではありません。
なぜなら単なるスペックアップだからです。
iPhoneが登場し、世界的なヒットを飛ばした理由はスペックでは無いんですよね。
iPhoneは音楽プレーヤーと電話機とインターネット端末を高次元で融合したコトが革新的だったのです。
3つの機能がひとつにまとまったからではありません。
高次元での融合が重要なのです。
それによって世界を変えました。
例えば、初代iPhoneから地図アプリが搭載されています。
地図アプリだけで言えば、昔の携帯電話にも地図アプリがありました。
でも、iPhoneの地図アプリは、複数の指を使って、拡大縮小回転を自由に行うコトができたのです。
いまでは当たり前のコトですが、当時はそれが革新的だったんです。
スペック上の地図機能がすばらしいのでは無く、地図機能が使いやすいコトが革新的だったのです。
文字入力も、ハードウェアのボタンでは無く、スクリーンキーボードによるフリック入力。
これにより、文字入力が高速化しました。
ハードウェアのボタンだと、例えば、「お」を入力するには「あ」ボタンを5回も押す必要がありますよね。フリック入力なら「あ」を下にフリックするだけ。
スペック上には表れませんが大発明ですよね。
初代機からマルチタッチによる快適な操作性を実装したiPhone。
Androidは初期の頃は、画面の回転もしませんでした。90度単位で瞬間的に切り替えていたのです。
スクロールに関しても、iPhoneは現実世界と同じような挙動をします。
慣性が働きますし、端までスクロールしたら、コツンと跳ね返りがあります。
AndroidもiPhoneの挙動に近づいて来ましたが、端までスクロールしたら、いきなりピタッと止まります。Appleに特許を押さえられているため、バウンドスクロールが実装できないんですね。
自動車を買うケースを思い出してください。
このクルマはあのクルマよりエンジンの排気量が何cc大きいとか、キャビン容量が何リットル多いとか、時速100キロメートルに到達する時間だとか、そう言うスペックを気にする人もいるでしょうけど、多くの人は、乗り心地が良いとか静かとか乗り降りがしやすいとか、見晴らしが良いとか、デザインがカッコいいとか、そう言う、スペック以外の点を重視する人が多いと思います。
毎日、使うコトを考えれば、使い勝手は重要だからです。
スマートフォンももはやクルマと同じくらいありふれた存在になり、スペックはそんなに重要では無くなりました。と言うか差別化が難しくなったんですよね。
だからこそ、Appleはマニアックなほどに、スペックより使い勝手を重視します。
iPhoneよりメモリーが大きいAndroid機は存在しますが、だからと言って、iPhoneの動きがぎこちないとか、遅く感じるとか、そう言うコトはほとんどありません。
なぜなら、AppleはOSとハードを自社で開発するコトで、最適化しているからです。
つまり、スペックよりも使用感にカネをかけて開発しているわけです。
どんなに高スペックでも使いにくければ人は使いません。
逆に、スペックでは負けても、日常的に快適に使えれば、人は使います。
かつてソニーがウォークマンで世界を変えました。
ウォークマンは音楽プレーヤーですが、音楽機器として高性能ではありません。
高音質な音楽機器はいくらでもあるのです。
でも世界中でウォークマンは売れました。
なぜなら、スペックが欲しいからでは無く、日常的に快適に使えたからです。
カンタンに歩きながら音楽が聴けたからです。
そう言う意味で、初代iPhoneは革新的です。
あれほど使いやすい製品ですからね。
それ以来、iPhoneもAndroid機も、スペックは上回っていますが、革新的な機種はひとつもありません。
Appleが初代Macを発売したのは1984年。
パソコンにGUIを持ち込んだ革新的な機種でした。
いまや世界中のパソコンが同様のウインドウとマウスのシステムですからね。
それから23年後の2007年にiPhoneが登場。
やはり世界中の携帯電話が同様のマルチタッチスクリーンシステムに変わりました。
革新的な製品とは20年から30年に1度くらいしか登場しないのかもしれません。
それまでは新機能やスペックアップなどの「マイナーチェンジ」でつなぐのでしょう。