多くの発明はゼロからでは無い
スティーブ・ジョブズが、その昔、Apple社でパソコンを生み出して大ヒットさせました。
Apple IIと言うパソコンで、個人向けの量産型としては世界初のパソコンです。
1977年でした。
その後、Macintoshを売り出します。
1984年ですね。
Appleがこの2つのパソコンを生み出したコトは世界に大きな影響を与えました。
よく言われるコトは、多くの新製品は、まったく新しい技術が使われているわけでは無い、と言うコトです。
MacはマウスとGUIを使った初めての量産型パソコンですが、マウスとGUI自体はApple社の発明では無く、すでに他社に存在しました。
Appleやスティーブ・ジョブズがやって来たのは、新技術を売り出すコトでは無く、新体験を広めるコト。
iPhoneにしても、すでに、電話も、音楽プレーヤーも、インターネット閲覧機も存在していました。
それらを融合して、まったく新しい体験を広めたのがiPhoneの意義であって、新技術のお披露目ではありません。
顔認証にしても、顔認証技術が生まれたので搭載したのでは無く、それによってユーザー体験が変化する、便利になるからこその搭載ですね。
Macと言うパソコンは1984年に登場以来、2019年の今でも販売されています。
それは、iPhoneとの連携が非常に便利だからであり、ボクも今では、iPhoneとMacの連携が無い生活は考えられませんが、Mac自体もまた、操作性が非常に優れています。
毎日、WindowsパソコンとMacを使っているボクですが、どんなにWindowsパソコンが高性能になっても、使い勝手の面で、Mac(とiPhoneの連携)の優秀性には追いついていません(くわしくはこのブログのMac関係の記事を読んでください)。
35年間も同一のブランドで売られているパソコンはたぶんMacだけだと思いますが、それは高性能だからでは無く、優れたユーザー体験にあります。
Apple Card
そして、今朝、発表された、Apple Card。
長らく、革新性が無いと言われてきたAppleが久しぶりに革新的なモノを生み出しました。
思えば、ボクもこのブログに書いたコトがあると思いますが、従来のクレジットカードって、セキュリティレベルは最低なんですよね。
クレジットカードって、表面と裏面の情報があれば、誰でも買い物ができてしまいます。
店での支払い時に店員さんにクレジットカードを渡すコトが多いですが、それって性善説ですよね。
店員さんが、カード番号などを書き写してしまえば、使えてしまえるのです。
今はボクは、Apple Payでの支払いがほとんどなので、セキュリティは向上しました。
そこに登場した、Apple Card。
チタン製のカード面には所有者名以外のセキュリティ情報の記載は無く、セキュリティナンバーも発行もランダム。
長いクレジットカードの歴史を、ついに変えてしまったんですね。
もちろん、iPhoneと連携するコトで、買い物日時や場所が自動的に記録されていくなどの便利な機能もありますが、とにかく、数十年の商習慣をついに変えてしまうのです。
スマホやタブレットの新機種発表と比べると地味に感じるかもしれませんが、今回のApple Cardはボクの目には革新的に映りました。
高性能な新製品を売るコトで競争するのでは無く、ユーザー体験を変えて便利にするコトを目的とする。
GAFAと呼ばれる、Googleも、Amazonも、Facebookも、新しいハードを売るコトが主目的ではありませんが、いずれも新しいユーザー体験を提供して巨大企業になりました。
そう言う意味では、単にプロセッサの性能やカメラの性能など、ハードの性能だけを売りにして、プラットフォーマーになれていない企業は、長続きは難しそうです。
Appleは、ハードを売りながらもサービスも強化し、プラットフォーマーとしてさらに成長していく。
そんな意思表示が明確に表れた今回の発表でした。