転出、転入
昨今の新型コロナウイルスの流行で、東京23区は、転出数が転入数を上回ったと言うニュースが流れていますね。
つまり、東京23区に入って来る人数よりも出て行く人数の方が多くなったと言う話です。
日本で一番人口が多い都道府県はもちろん東京都。
その東京都から、ついに他の道府県に人が移動しているんだなあ。
そう思ってしまいそうですよね。
でも、よく読むと、これ、東京23区の話です。
実は、23区以外も含めた東京都全体で見れば、転入数が転出数を上回っているのです。
つまり、他の道府県から東京都に入ってくる人数は出ていく人数よりも多いのです。
東京都内の分布が変わっただけであり、引き続き東京への集中は昨年も続いたわけですね。
人口減少
東京から他の道府県へ人が出て行ったと思い込んでいる人は、これで地方も少しは活性化するかもと思うかも知れませんが、転出、転入の話と、人口減少は別です。
昨年の東京23区の転出超過数は14,828人。
昨年の東京都の転入超過数は5,433人。
つまり、東京都自体は転入の方が多かったわけです。さっき書いたとおり。
一方、人口の増減で言えば、東京都は、
2021年1月1日には、14,036,721人。
2021年12月1日には、13,998,001人。
なので11ヶ月間で38,720人減りました。
これが直近の東京都の動きです。
でが日本全体ではどうかと言うと、
2022年1月1日時点で、1億2544万人。
これは前年同月から、63万人の減少です。
繰り返しますが、東京の人口減少は11ヶ月間で38,720人。
日本全体の人口減少はは1年間で約63万人。
東京都の人口は日本の人口の1割を超えているので、日本の人口減少が63万人なら、東京都の人口減少は6万3千人を超えてもおかしくないはずですが、実際には39,000人ほどしか減っていません。
つまり、日本全体の人口減少から見れば、むしろ東京の人口減少は少ないわけですね。
言い換えれば、さらに東京へ集中したわけです。
新型コロナウイルスのニュースで、東京23区への転出、転入のニュースだけを、ボーッと見ていると、東京から地方へと人が広がったように誤解しそうですが、きちんと数値を見ていくと、実は、日本全体の人口の減り方よりも東京都の人口の減り方の方が少ないので、日本における東京の相対的な人口集中は強まったわけです。
ちなみに、63万人と言えば、鳥取県の人口より多いので、63万人も減ったと言うコトは、人の数と言う点で言えば、1年間で47都道府県から46都道府県になったのと同じコトです。
2022年もそれ以上に人口が減るので、今年が終わる頃には、日本は45都道府県になるのと同じ人口になります。
たった1年でひとつの県が消えるのと同じだけ人が減るのって、急激だと思いませんか?
仮に毎年63万人ずつ減るとして、10年間で630万人。
つまり、10年間で千葉県が消えるのと同じ現象が起こるわけです。
実際には人口減少幅はもっと大きくなります。
2030年には、1億1,662万人ですね。
今後8年間で882万人。
ざっくり言えば、10年後には神奈川県か大阪府か愛知県が消滅するのと同じコトが起きているわけです。
新型コロナウイルスによる東京23区の転出入は地方の活性化とは何の関係も無いほど、人口減少の影響が大きいコトがわかります。