Reason
タイトルだけでは何のコトかわからない人は、たぶん全然、縁が無いかもしれない話です。
音楽制作の話です。
昨今、音楽を制作するには、パソコンで、DAWと呼ばれるアプリを使うコトが多いです。
DAWはデジタルオーディオワークステーションのコトで、DAWを使って、楽器の音を鳴らしたり、音符を入力したりして、音楽を作っていくわけです。
DAWにはたくさんの種類がありますが、有名なのは、例えば、YAMAHAのグループ会社であるスタインバーグのCubaseやAppleのLogic Pro Xなどがあります。
そして、上記ほど有名では無いですが、独特の世界観を持ったDAWのひとつに、propellerhead社のReasonがあります。
ボクは、CubaseもLogic Pro Xも持っていますが、実は、Reasonも持っていて、この中では一番長く使っています。
10年以上使っています。
プラグイン
一般に、DAWには、いろんなソフトシンセが付属しています。
それらを使って、色んな楽器の音色を演奏できるわけです。
ただし、付属のソフトシンセだけでは物足りないので、世の中には、数多くのソフトシンセが市販されています。
重要なのは、メーカーが異なっても、お互いに利用できるようにする利便性です。
実は、スタンダードな共通規格がいくつかあるんですが、現在では、スタインバーグが提唱した、VSTと言う規格や、AppleのAUと言う規格が圧倒的に有名です。
それらをプラグインとして、DAWに読み込んで使うコトが可能です。
ほとんどのソフトシンセは、VSTやAUに対応しています。
そして、ほとんどのDAWはVST(AppleのLogic Pro XとGarageBandだけはAU)に対応していて、そのおかげで、世の中の多くのソフトシンセをDAWで使うコトができるわけです。
なので、ほぼ無限に、楽器を増やせるんですね。
例えば、Aと言うDAWとBと言うDAWがあって、ボクはAの操作性を気に入っているとします。
そして、世の中に、Cと言うオーケストラ楽器のソフトシンセ、Dと言うドラムのソフトシンセ、Eと言うベースのソフトシンセがあって、それらの音色が気に入っているとします。
AがVSTに対応していて、CとDとEがVST規格で作られていれば、Aの中でCとDとEを使って曲作りをできるわけです。
言い方を変えれば、BもVSTに対応していれば、BでもCとDとEを使って曲作りができるので、極端に言えば、AでもBでも、同じ音色で曲を作れるわけです。
まあ、使いやすいDAWに好きな音色のソフトシンセを読み込んで使う。
そんな世界です。
好きなDAWで好きなVST(かAU)を使う。
そんな世界において、珍しく独自路線を歩んでいたのが、Reasonと言うDAWでした。
Reasonには最初から、実にハイクオリティーなソフトシンセがたくさん付属していて、わざわざ市販のソフトシンセを導入しなくても良い音楽が作れる。
そう言えるくらい、すばらしいアプリなんですね。
しかし、さすがに、世の中に無数のソフトシンセが登場して、他のDAWでそれらを利用できると、競争力が落ちます。
なので、Reasonには、ラックエクステンションと言う規格が作られました。
これは、Reason専用のVSTと言えるモノで、これによって、Reasonでもたくさんの外部の市販ソフトシンセが使えるようになりました。
と言っても、それらはあくまでも、Reasonの中だけ。
そこで、propellerhead社は、ReWireと言う仕組みを提唱しました。
これは、DAWとDAWを同期させる仕組み。
これによって、例えば、Logic Pro XでReasonを動かすコトができるようになりました。
Logic Pro Xから、Reasonの魅力的なサウンドを鳴らせるわけです。
その代わり、同時に2つのDAWを起動させる必要があるので、パソコンの負荷は大きくなると言う欠点があります。
その後、時代は進み、Reasonはバージョン9.5で、ついに、VSTに対応します。
Reasonの中でVSTを使えるように、つまり、他のDAWと同じコトができるようになりました。
これは、独自路線を貫いて来たReasonの歴史を覆す大転換でした。
今からわずか2年前、2017年のコトでした。
そして今年、Reasonはバージョン11でさらに大転換します。
そうです。Reason自体がVST化します。
Reasonの中の魅力的なソフトシンセがVSTとして動くようになるのです。
これによって、他のDAWから、Reasonの楽器音を操作できるようになるのです。
今までは、Reasonの楽器の音色を鳴らすにはReasonを操作する必要がありましたが、今後は、Reasonの楽器音を他のDAWで慣らせます。
なので、例えば、Logic Pro Xが使いやすいと思えば、Logic Pro Xを使ったまま、Reason内の好きなソフトシンセの音色を使えるわけです。
これは、良く言えば、好きなDAWでReasonの音色を使えるようになった。
でも、悪く言えば、Reasonのソフトシンセ以外の部分の出番が減る、と言えます。
あまり詳しくは書きませんが、Reasonの特徴は、そのすばらしいソフトシンセの音色だけではありません。
非常にアナログ的なケーブル接続ができるラックシステムもReasonの大きな特徴です。
VST化した場合、その特徴をどこまで出せるのか。
Reasonの知名度が上がるのか下がるのか。
ここは大きな賭けだと思います。
と言ってもボクは非常に楽しみですが。
ラックシステム表
ラックシステム裏