賽(さい)銭のキャッシュレス化
寺社における賽銭のキャッシュレス化については、一部で導入している寺社もあるようですが、そんな中で、京都仏教会が反対の意思表明をしましたね。
この京都新聞の記事がいつまでも残っているとは限らないので、反対理由を引用します。
- 信者の個人情報や宗教的活動が第三者に把握される恐れがある。
- 将来的に宗教課税が発生する可能性もある。
- 信者や寺院の行動が外部に知られることで宗教弾圧に利用される恐れがある。
などだそうです。
キャッシュレスの将来
大昔の貝や石の貨幣が残っていないように、時代とともに間違いなく社会制度やインフラは変化します。
キャッシュレスも、いったん慣れた人は、現金に戻る可能性は低く、いずれ、社会はキャッシュレス化すると思われます。
そうなると、わざわざ銀行やコンビニのATMに行って現金を引き出して財布に入れておくと言う作業もムダになりますし、それを管理する仕事もムダになります。
現金が消滅すれば、現金の製造、分配、運送、管理、処分に関する仕事はすべて消滅し、現金の保管場所も不要になります。
そんな未来予測の中での京都仏教会のキャッシュレス決済反対。
上記の3つの反対理由のうち、1つ目と3つ目は似ていますね。
要するに情報が外部に漏れる心配です。
まあ、これに関しては、キャッシュレスに関係無く、例えば、記帳などでの個人情報の提供もあり、キャッシュレスになったからリスクが飛躍的に増えるとも思えません。
むしろ、キャッシュレスシステムの安全性によるので、もし問題があるなら、そもそも賽銭に限らず、すでに世の中にあるキャッシュレスシステムすべてに関わるコトです。
難しいのは2つ目ですね。
お賽銭をキャッシュレス端末で受け取ると言うコトは、それをどこかの事業者に委託すると言うコトです。
PayPayか、LINE Payか、Suicaか。
当然、事業者に手数料を払う必要がありますが、その際に消費税が発生します。
しかし、宗教活動には非課税なので、その処理をどうするか、と言う問題があるんですね。
同じ寺社内でも、商売の売上には通常の課税、賽銭などの宗教活動は非課税。
その両方をキャッシュレス決済するなら、端末を別々にするのか。
さらに言えば、賽銭でも、明治神宮のような大きな神社では、大勢の人が同時に賽銭を投げるので、キャッシュレス決済端末も多数必要になりそうです。
そのコストをどうするかですね。
一方で、現金の賽銭がゼロになれば、集めて数える作業が完全に消滅するので、そのコストは消えます。と言っても、その作業は銀行員がやるんでしょうけど。
いずれにせよ、世の中がキャッシュレス社会になれば、現金の流通額が減ります。
いくら京都仏教会がキャッシュレスに反対しても、現金を持ち歩く人がそもそも激減すれば、現金の賽銭にこだわる限り、賽銭そのものの額が激減するコトになります。
そうなると、寺社の死活問題にもなりそうです。
反対するコトはもちろん自由ですが、人々がキャッシュレス生活するのも自由です。
そう言う意味では、賽銭も必然的にキャッシュレスにせざるを得ないのでは無いでしょうか。
寺社が生き残るために。