昔のパソコン風景
それなりに長く生きている人は、時代の変遷を知っているわけです。
例えば、平成生まれの人は、物心ついたときにはパソコンやインターネットなんて当たり前のように存在したでしょう。
でも、ボクが社会人になったときには、会社にはパソコンなんてほとんどありませんでした。
ボクは銀行の支店に赴任したんですが、パソコンは店舗で1台だけ。
使う人なんてほとんどいません。
その後、異動して、とある本部系の部署に行ったんですが、そこでも数人の人たちが計算機(電卓)を叩きながら大量の製品の発注数量を何日もかけて計算していました。
時間もかかり、もちろん間違いも発生します。
それを見たボクは、その処理をExcelに移植し、一人で瞬時にできるようにしたんです。
数人が数日がかりで行っていた作業を一人で瞬時に。
当然、部門長からは表彰され、部門全体から、
「こんなことができるのか!」
と驚かれました。
ボクは小学生の頃からプログラミングをしていたので、そんなことは朝飯前だったんですが、当時はまだパソコンは、多くの人にとっては、単なる文字がキレイに印刷できるマシンに過ぎませんでした。
多様なパソコンから統一化
ボクがパソコンを使い始めた頃は、今と違ってWindowsが無くて、各社バラバラの仕様でした。
NECのパソコンにはNEC専用のアプリを買う必要がありました。
しかも、同じNECでも機種ごとに別々です。
例えば、NECのPC-8801というパソコンとPC-8001というパソコンとPC-6001というパソコンが存在し、それぞれ互換性が無いので、別々にアプリが作られていたんです。
富士通にはFM-7やFM-77、シャープには、X1やMZシリーズなど。
他にも日立のS1とかソニーのSMCシリーズとか。あと、MSXとか、
アプリの開発者にはとても面倒な時代でしたが、逆にユーザーにとっては面白い時代でした。
各社が競って自社のマシンに個性を持たせようとしたからです。
今はつまらないですよね。
パソコンといえば、WindowsかMac。
Windowsなんて、メーカーは違っても中身はどれも同じですから。
ソニーであろうが富士通であろうがNECであろうがパナソニックであろうがDELLであろうが、全部同じ。
人と違うのを選びたいならMacくらいしか無いわけです。
まあその分、どのパソコンを選んでも大して失敗しない時代になったとも言えます。
昔は、
「今はPC-6601しか持ってないけど、いつかは憧れのX68000を手に入れる!」
なんて希望がありました。
現代は、
「今は富士通しか持ってないけど、いつかは憧れのソニーを手に入れる!」
なんて、まず思わないですよね。どっちも中身は同じWindowsですから。
まあ、パソコンが汎用品になったってことです。
機械か電気か
あと、パソコンが機械製品から電気製品へ移行しているのも時代の変遷です。
機械製品と電気製品の違いって分かりますか?
まあ定義は人それぞれかもしれませんが、ざっくり言うと、機械製品というのは、
物理的な稼働部品がある
製品です。
それに対して電気製品は
物理的な稼働部品が無い
製品だと定義されます。
例えば、部屋の壁にスイッチがあるとします。それを押せば部屋の照明をオンオフされるとします。
そのスイッチが、機械製品であれば、実際に手で、カチカチっと押し込みます。
稼働部品ですね。
逆にもしそのスイッチが、電気製品であれば、手でピッと触れるだけ。押し込みません。
つまり物理的に稼働するわけでは無いです。
イメージできたでしょうか。
昔のパソコンには機械製品がたくさん使われていました。
例えばフロッピーディスク。
実際にディスクをガチャッと差し込んで、中でモーターが回ってディスクを回転させてヘッドをモーターで動かして磁気を読み取ります。
まさに稼働部品ですよね。
ハードディスクも同じです。
しかし今どきの最新パソコンって、フロッピーなんてもちろん無いですし、ハードディスクもSSDに置き換わりつつあります。
SSDは電気的にデータを記録するだけなので、物理的に部品は稼働しません。
DVDやブルーレイのドライブを内蔵しないパソコンも増えましたよね。これらもモーターで動くので稼働部品です。
当たり前のことですが、部品が物理的に稼働するということは故障のリスクは大きくなります。
物理的に動くので当然、すり減ったり金属疲労を起こしたりして劣化していくからです。油も減っていきます。
鉄道の駅の改札もわかりやすいですよね。
機械製品から電気製品へ移行しています。
昔は紙の切符や定期券を中に通すために、モーターが稼働していましたが、今はSuicaのようなカードをタッチするだけ。
つまりモーターのような稼働部品が無くなり、電気的に読み取るだけです。
機械製品から電気製品へ変化しているわけです。
おかげで部品の劣化が大幅に減り、メンテナンス費用も大きく削減できるわけです。
故障が減る
そうやって時代が進み、パソコンが高性能化かつ電気製品化していけば、故障も減り、だから、買い替え需要も減ってしまいます。
そして、こんなニュースが出てきます。
ボクは、子供の頃から振り返ると、
- パソピア7
- MSX
- PC-8801
- FM TOWNS
- FMV DESKPOWER
- LET'S NOTE
- VAIO NOTE
- VAIO DESKTOP
- SOTEC NOTE
- DELL DIMENTION
- DELL DMENTION 2台目
- MacBook
- MacBook Air
- MacBook Air 2台目
とパソコンを使ってきました。(よく思い出したな)
大人になってからは2年に1台くらいは買い換えていた気がします。
でも、いま使っているMacBook Airは2012年モデル。そろそろ4年。
確かに買い替えペースは落ちました。
なにせ、このMacBook Airは非常に快適で、故障も無く、処理速度も速く、とにかく便利に使っているので、買い換える「必要性」が無いんですよね。
もちろんハードディスクでは無くSSD、ネットも有線では無く無線。
とにかく余計な稼働部品が無い電気製品なわけです。
内部で物理的に稼働しているのは、温度を下げるためのファンと、キーボードのキー、そしてトラックパッドくらいでしょう。
だから故障率も低いんですね。
もし買い換えるとすれば、それは「必要性」では無く単なる「物欲」動機です。
でも、いまのボクにそこまでの物欲は無いので、まだしばらくこのMacBook Airを使うと思います。
ちなみに最新のMacBookはトラックパッドもカチカチとヘコまなくなりました。つまり稼働部品では無くなりました。なのに押すと、まるで押し込まれているかのようなカチカチという反応が返ってくる、すごい技術が使われています。
カチカチを機械技術では無く電気技術に変更したんですね。これによって故障率はさらに下がります。
またファンも無くなりました。
つまり最新のMacBookでは、ホントに稼働部品といえばキーボードのキーくらいになったわけです。
もしかしたら、いずれ、キーボードのキーも単なるタッチ式になり、しかもまるで押し込んでいるかのように感じられる技術が使われるかもしれませんよね。
そうなったら、パソコンから稼働部品が消滅します。
そうなると、もうほとんど故障しなくなりますね。
メーカーにとっては大変ですよね。
技術の進化とともに、故障による買い替え需要が無くなっていくわけですから。
買い替えの動機は、高性能化・高機能化。
まあでも、それはユーザーにとってはありがたいことです。
果たして、ボクが次に買い換える動機となる新技術はどうなるんでしょうか!