債務超過
レオパレス21と言う不動産会社が債務超過になったニュースが世間をにぎわせています。
レオパレス21の管理が約39000棟あり、そのうち13000棟以上に不具合があります。
この問題は完全にレオパレス21が引き起こしコトなので、一般的な感情論としては、レオパレス21つぶれろ!と言いたくなるのが普通でしょう。
まあでも、例えば、リーマン・ショックのような大不況で多くの銀行に税金が投入されて救済された例を見てもわかるように、大きすぎる案件には何らかの圧力がかかります。
ボクも個人的には、銀行なんてつぶれれば良いと思って思っていましたが、そうすると、銀行員以外の膨大な数の人たちが犠牲になるわけです。
こちらに書いた銀行強盗の話を読んでみてください。
サブリース
レオパレス21はサブリースと言う事業で成り立っています。
その管理戸数はここに書かれています。
約57万戸ですね。
たびたび書いて来ましたが、賃貸アパートと言うのは、不動産会社の持ち物ではありません。
多くは、個人の所有物です。
多くの土地を持つ地主さんなんかが相続を迎えると大きな相続税がかかるために破綻しちゃうんですね。
それを防止するために、借金して、土地に賃貸アパートを建てます。
そうするコトで、相続税額を減らすコトができるからです。
ただし、貸室が埋まるかどうかのリスクがあります。
サブリース業者は、そんなアパートを一括で借りるわけですね。
そうするコトで、地主さん(大家さん)には安定した賃料が入ります。
サブリース業者は、空室リスクを負うコトになりますが、その分、家賃を少し高くして貸すわけです。
例えば、大家さんが家賃5万円のアパートを保有しているとします。
もちろん、そのまま家賃5万円で安定的に貸せれば問題は無いんですが、そんな保証はありません。
空室になれば収入はゼロです。
そこで、サブリース業者は、その部屋を4万円で大家さんから借ります。
大家さんにしてみれば、4万円の収入に減ってしまいますが、その代わり空室のリスクは消えます。
確実にずっと4万円が入るわけです。
サブリース業者は、その部屋を5万円で貸せば、差額の1万円が儲けですね。
サブリース業者にとっては、アパートの建築コストを出すこと無く、毎月1万円の利益を得られます。
もちろん、空室になればゼロですが、元々、アパートの建築コストを負担していないので、ゼロであってもマイナスでは無いわけです(わずかな管理費用はかかりますが)。
こうやって、大家さんとレオパレス21が持ちつ持たれつになっている部屋が57万戸あると言うコトです。
もし、レオパレス21がつぶれたら、57万戸分の部屋を大家さんが自分で管理するコトになります。
大家さんは全員がプロでは無いので、当然、空室を埋められない大家さんもたくさん出てきます。
大家さんは、銀行などからローンを借り入れてアパートを建てていますが、その返済は賃料収入から行っています。
もし、サブリース業者が倒産して、大家さんへの収入が激減すると、銀行へのローン返済が滞ります。
資金不足になって、そのアパートの管理ができなくなるのです。
勘違いされやすいんですが、地主さんの多くはおカネ持ちではありません。
土地はあってもおカネが無い地主さんが多いのです。
だから、相続税を払えないのであり、だから、相続対策でアパート経営をするわけです。
おカネが無いと言うコトは、賃料収入が減れば、銀行への返済ができなくなり、アパート経営も破綻します。
廊下が汚れても清掃できなくなります。
照明が故障しても修理できなくなります。
レオパレス21の管理する57万戸すべてがそうなるとは言えませんが、レオパレス21が倒産するコトで、それらの多くの物件の管理が滞るのは目に見えています。
つまり、レオパレス21と言う会社よりも、一般の人々への影響がとても大きいと言うコトです。
言い方を変えれば、何の罪も無い数多くの人が犠牲になる、と言うコトです。
感情論でレオパレス21に対して非難するコトと、現実的にレオパレス21をしばらく存続させるコトとは、全く別の問題なのです。
と言うわけで、レオパレス21がどのように救済されるのか、ボクは注目しています。