駅からの距離
今回は、不動産業界に身を置く者として、ボクがず〜っと思ってたことを書きます。
宅建業法と言う法律があります。
その法律には、消費者を保護するための様々な決まりが書かれています。
よく、不動産物件が駅から何分とか広告に書かれていますよね。
あれもホントは人によって歩く速さが違うので、何分とか書かれても、基準がバラバラになっちゃいます。
そこで、消費者を保護するため、不動産までの距離は徒歩1分=80mと決められています。
実際の歩く速さは関係無いんですね。
例えば徒歩で5分かかるなら、それは400mを表します。
不動産業者はそれを守らなきゃ行けないんです。
実際は駅から1kmもある物件なのに徒歩10分と書いちゃ違法です。
すると、
- 坂道はどうなるの?
- 信号の待ち時間は?
など、いくつかの疑問が出てきます。
坂道の角度
今回は坂道についてお話しますね。
坂道の場合は水平な道と比べて上りは歩くのが遅くなりますよね。
でも、同じ道を逆方向に進めば下りとなり、今度は歩くのが速くなるかも知れません。
結局、歩く速さに関する議論は相殺(打ち消し)になります。
今回はそこでは無く、角度と長さの話なんですよ。
通常、不動産までの距離は、地図を真上から見た状態で測られます。
つまり地面に対して90度の角度です。
空から真下を見下ろすわけです。
では、こんな坂道を想像してください。
45度の角度の坂道。
実際にそんな急坂があるかどうかは知りませんが、話をわかりやすくするために45度の坂道があると仮定しましょう。
すると、地図の上で仮に100m進んだ(つまり水平方向に100m進んだ)としても、実際には45度の角度で坂を上がった、もしくは下がったわけです。
歩く速さはあくまでも同じとしてください。
45度の角度で斜めに進んだ長さは、昔、学生時代に数学(算数でしたっけ?)で習いましたよね。
そうです。垂直二等辺三角形です。
水平方向への長さに対して斜めの線は√2(ルート2)になります。
ルート2の数字、覚えてますか?
ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ
ですよね。
1.41421356です。
なので、45度の角度の坂道を地図上で水平方向に100m進んでも、実際の移動距離は、斜め上(もしくは斜め下)に、
約141m
も歩いたことになるんです。
坂道だから歩くのが遅くなるとか速くなるというのを抜きにしても、そもそも約4割以上も長い距離を歩くことになるんですね。
でも不動産の表示はあくまでも地図上の距離。
真上から見下ろした長さです。
だから実際には45度の角度で急坂の141m先にある物件も100mと表示されてしまいます。
実際、水平方向には100mだから違法では無いんです。
100m÷80m=1.25
1.25分つまり、1分15秒と表示されます。
実際は斜め45度上の方に141mも進むので、
141m÷80m=1.76
1.76分つまり1分46秒ほど掛かるんです。
歩く速さが同じだとしても、実際の距離が全然ちがうわけですね。
そりゃ実際に45度の角度の坂道があるかどうかはわからないにしても、法定上も角度のことは考慮されていないわけです。
厳密に言えば、角度が30度の坂道でも10度の坂道でも1度の坂道でも距離は変わります。
まあ実際に角度による距離の変化まで考慮に入れろと言われたら、すべての物件をひとつひとつ現地で距離測定しなきゃいけなくなって、現実には不可能でしょう。
だから消費者保護とは言え、今のような法律になってるんです。
結論
不動産は必ず現地へ行って実際に見ろ!と言うことです。