プロ野球ファン
昔、日本プロ野球は読売ジャイアンツが圧倒的に人気でした。
特に、民衆と言うのはテレビによってマインドコントロールされるので、毎日のようにテレビ中継される読売ジャイアンツの選手だけが圧倒的な知名度でした。
その対戦相手であるセ・リーグの選手も有名になりました。
一方のパ・リーグは各球団が経営危機に陥るほどでした。
近所の、野球をまったく知らないおばあさん同士が、
「昨日のジャイアンツはどうだったかねえ。」
なんて会話をしているのを聞いたことがあります。
彼女たちは、12球団のプレイを比較して、その中で読売ジャイアンツのプレーが一番高度ですばらしいと判断した上で、そんな発言をしているんじゃ無いんですね。
単に他のチームはテレビで放送しないので知らないだけなんですよ。
まさにマインドコントロール。
実際、ここ10年ほどは、テレビでプロ野球中継がほとんどされなくなったので、球団間の人気の格差も減りました。
各球場にも、そこそこ観客が集まるようになりました。
昔のパ・リーグの球場がガラガラだったことを考えると、やはりマスコミのマインドコントロールの影響は大きいんだなと思います。
ボクは大阪生まれですが、いつもこのブログで書いているように、マスコミのマインドコントロールを受けにくい性格なんですよね。
そもそも今も自宅にテレビすら無いので。
大阪なら阪神タイガースファンですか?と聞かれるんですが、ボクは子供の頃は関西の4球団の試合をまんべんなく見てました。
近鉄バファローズ、阪急ブレーブス、南海ホークス、阪神タイガース。
周りがどうとか関係無いんですよ。
みんながタイガースを応援しているとか関係無いんですよ。
自分がどう考えるかが大切。
連日、テレビや新聞がタイガースの記事を書き立てようが、関係無いんですよ。
なにせボクはプロ野球ファンですからね。
ただ、知らない人も多いんですが、実は日本のプロ野球の歴史で大阪に本拠地を置いたチームは南海ホークスと近鉄バファローズだけです。阪神タイガースと阪急ブレーブスは兵庫県ですからね。(洋松ロビンスも一瞬だけ大阪に本拠地を置きましたが)
プロ野球のリーグ格差
そんなボクは今でも12球団すべてのファンです。
面白いデータがあります。
このウィキペディアの真ん中あたりの「各年の日本シリーズ」と言う表を見ながら読んでください。
プロ野球が2リーグに分裂したのは1950年からで、そこから毎年、両リーグの優勝チームによる日本シリーズが開催されています。
正直、1973年までは、読売ジャイアンツの時代でした。
確かに強かったんです。
表を見れば明らかです。
1950年から1973年までの24回のうち、15回でジャイアンツが日本一になっています。
12球団もあるのに1つのチームが半分以上で勝つわけですから、戦力の差は圧倒的です。
ジャイアンツは人気チームなので、実力のある選手が集まってきます。そしてますます強くなり、さらに人気が出る。
これはスポーツのリーグとしては悪循環です。
そこで、ドラフト制度が導入されたんですよね。
日本のドラフト制度はデタラメの歴史なんですが、それでも、戦力はかなり分散化しました。
正直、日本のプロ野球は、1973年までと1974年以降とで変わりました。
1974年から去年2017年までの日本シリーズは44回。
表を見れば、明らかに色が変わっていますよね。
それまでが大半がセ・リーグのジャイアンツが日本一。
しかし1974以降はパ・リーグの日本一回数が増えました。
ひとつは西武ライオンズの台頭。
1982年から1994年までの13年間のうち、ライオンズがリーグ優勝できなかったのは、たったの2回。13年間のうち11回もリーグ優勝しているのです。
そのうち8回も日本一になっています。
まさにかつてのジャイアンツのような強豪球団がパ・リーグに出てきた印象でした。
しかし、1990年代後半から2000年代初頭まではセ・リーグもがんばります。
ただし、表を見ればわかるように、ジャイアンツの一強では無いんですよね。
ヤクルトスワローズが黄金期に入ったからです。
1992年と1993年の2年連続でライオンズとスワローズが日本シリーズで戦っています。
ボクの人生の記憶の中で、この2回の日本シリーズが、日本シリーズ史上、最も面白かったんですよね。
ライオンズの森監督とスワローズの野村監督と言う、知将の戦い。
まさにプロ野球は戦略と戦術のスポーツなんだなと、当時のボクは手に汗を握っていました。
なにせ、頭を使うのは大好きですから。
ところが、その後は、両リーグに戦力格差が生まれます。
素人目に見ても、パ・リーグの方が強くなってしまいました。
例えば、21世紀(2001年から2017年)の17回の日本シリーズを見てください。
セ・リーグは5回しか日本一になっていないのに対し、パ・リーグは12回も日本一になっています。
有名な話としては、交流戦は2005年から始まり、これまで13回のうち、セ・リーグが優勝したのは2回だけ。
これによって、両リーグの戦力差が語られます。
同様に日本シリーズでも格差が生まれているんですよね。
特にここ5年連続でパ・リーグが日本一。
ちなみに、さっき書いた、プロ野球の流れが変わった1974年からも数えてみました。
日本シリーズは44回。
日本一の回数は、パ・リーグ26回、セ・リーグ18回。
上に書いたように、1950年から1973年までの日本シリーズ24回のうち、15回でジャイアンツが日本一になっています。
ところが、その期間のセ・リーグの日本シリーズ勝利数は17回、つまり、17回のうち15回はジャイアンツ、残りの2回が、中日ドラゴンズと大洋ホエールズです。
そう考えると、確かに1973年までは、セ・リーグの方が圧勝でしたが、実は、ジャイアンツ以外のセ・リーグチームはボロボロだったわけです。
まとめると、1973年まではジャイアンツが圧勝、それ以外のセ・リーグチームはボロボロ、パ・リーグも西鉄ライオンズと南海ホークスがリーグ内では黄金カードでしたが、やはりなかなか日本一にはなれず。
一方、1974年以降は、西武ライオンズが圧倒した流れでパ・リーグが強くなり、特に21世紀には明確にパ・リーグがセ・リーグに対して実力で勝っています。
そして、ジャイアンツの地上波テレビ放送が減ったことと、パ・リーグの営業努力、戦力アップによって、かつてのような人気差も減りました。
昔はセ・リーグの観客動員数はパ・リーグの数倍ありましたが、いまは誤差程度。
ボクは、ようやく、スポーツリーグとして健全になって来たと思っています。
1996年にボクが思ったことがあります。
前年の1995年に阪神・淡路大震災が起こりました。ボクも兵庫県に住んでいた被災者です。
当時、兵庫県に本拠地を置いていたプロ野球チームは2つ。
オリックスブルーウェーブと阪神タイガース。
大変な中で1995年にブルーウェーブはリーグ優勝、翌1996年は日本一になりました。
あのイチローや仰木監督のいるブルーウェーブは兵庫県民の希望でした。
一方の阪神タイガースは暗黒時代。1993年から2002年まで10年連続でBクラス。
同じ兵庫県のブルーウェーブが優勝、日本一となった1995年と1996年にタイガースは2年連続で最下位でした。
にも関わらず、観客動員数は、ブルーウェーブよりタイガースが上でした。
そのときにボクは思ったんです。
ああ、多くの人は、試合の中身なんてどうでもいいんだな。
ブルーウェーブがどんなに良いプレーをしても、テレビや新聞はタイガースの記事。
ボクはこのブログで常に言っているように、中身を大切に思う人間。
だから、当時、プロ野球チームとしてふがいない、だらしないプレーをしているタイガースよりも、高い技術を見せてくれるブルーウェーブを応援していました。
周りの人気なんて関係無い。どうせ周りの人たちは、盲目的にタイガースを応援しているだけなんだから。
周りに流されず、自分の気持ちで進めばいい。
現在、両リーグの観客動員数の差はかなり小さくなりました。
いつか、史上初めて、パ・リーグの観客動員数がセ・リーグの観客動員数を上回る年が来てもいいんじゃないかな、なんて思います。
すごい活躍をしても人気の無いチームに入ってしまえば注目されず、一方で、大した活躍をしなくても、たまたま人気チームに入れば注目される。
前者の実力選手は悔しい思いをしたことでしょう。
不公平ですよね。
マスコミによるマインドコントロールでは無く、実力のあるチームが人気を得ると言う当たり前の現象が、そろそろプロ野球でも起きればいいのにな、なんて思ってしまうわけです。