便利なプライムナウ
Amazonのプライム会員のみが利用できるサービス、それが、プライムナウです。
いやあ、ボクもたまに利用しています。一般の宅配と違って夜中でも届けてくれるので、仕事が忙しい人間にぴったり。
そう言う新しいサービスに対しては当然のように批判的な意見も出てきます。
いま流行のブラック職場の件ですね。
ボクは決してブラック企業を支持するわけではありませんが、この問題って、どうもブラック職場とは別のような気がしてならないんです。
みなさん、世の中って、市場が価格を決めるって知ってますか?
よくある話をします。
何でもいいんですが、例えばどこかのパン屋さんが1万円のパンを売り出したとしましょう。
すると、こんなことを言う人がいます。
「パン屋はぼったくりだ!ボロ儲けだ!」
あなたはどう思いますか?ぼったくり、ボロ儲けだと思いますか。
考えてみてください。
そのパンが1万円で売れるでしょうか。
普通に考えてパンが1万円で売れるとは思えませんよね。
もし1個も売れなければ、そのパン屋さんはぼったくりもできませんし、ボロ儲けもできません。
むしろ作って売れなかったら赤字です。損失です。
価格だけを見て、価格が高いからぼったくりだとかボロ儲けだとか言うのは浅はかなんですよ。
モノは高すぎると売れません。
いくらで売れるかと言えば、それは、その価格でそのモノを買っても良いと消費者が考える価格です。
だから多くのパンは数百円で売られているわけです。
それ以上の値をつけて売り出しても売れないからです。
逆に安ければ安いほどたくさん売れます。
たくさん売れますが、安すぎると売り手が儲かりません。
例えばパンを1個1円で売り出すと100万個売れるとしますよね。
パンが100万個も売れれば空前のバカ売れです。
では、そのパン屋さんは喜ぶでしょうか。
もちろん喜びません。なぜならパンを1円で売れば赤字だからです。100万個も売れてしまえば大赤字です。
それなら売らない方がマシなので、そんな値段ではパン屋さんは販売しません。
結局、高すぎても安すぎてもダメで、バランスの良いところで価格は決まるんです。
これが市場(マーケット)です。
価格は市場が決めます。
売り手が好きな価格で売れるわけでも、買い手が好きな価格で買えるわけでもありません。
だから野菜の価格が天候で上がったり下がったりするんです。個々の売り手の都合、買い手の都合で価格が変動するわけでは無いのです。
市場の需要と供給のバランスで決まるんです。
ここで言う物価は給料にも当てはまります。
高い給料をもらう人がいますが、それは会社がその人にその給料を払っても良いと考えているからです。
それ以上、高い給料を求めるなら会社はその人を雇えませんし、逆にそれ以上、安い給料になるなら、その人は他社へ転職を考えます。
両者の需要と供給のバランスが取れている金額で給料が決まっています。
プライムナウの労働条件
さて、Amazonのプライムナウのような新しいサービスに対して批判する人。
1時間で届けるから働く人の労働環境は、よりブラックになる、と考えているんですね。
そうでしょうか。
昔、コンビニが無かった時代。
街には24時間営業の店舗なんてほとんど存在しませんでした。
しかし今は24時間営業の店舗はどこにでもあります。
では、それによって人々の労働時間は伸びたんでしょうか。
当たり前ですが、そんなことはありません。
なぜなら、店の営業時間が24時間になったからと言って、そこで働く人の労働時間が24時間になったわけではありません。
当然のようにシフトを組みます。交代制です。
新しいビジネスモデルが登場したら、それに合わせて合法的に、雇用体制も組み直すわけです。
これが基本の考え方。
もちろん世の中には労働基準法を守らない企業も存在しますが、それは別に24時間営業のコンビニのせいでは無く、企業のモラルの問題ですよね。
新しいビジネスモデルとは無関係です。
プライムナウも同じなんですよね。
1時間で届けると言う新しいビジネスモデルが登場したら、合法的にそれに合わせた雇用体制も構築すべきなんです。
しかし、先ほどの記事ではまるでプライムナウと言うビジネスモデルが元凶であるかのような書き方です。
それってコンビニが24時間も営業したら労働者が大変だろ!と言ってるのと変わりません。
さっき、需要と供給の話をわざわざ先に書いた理由、わかりますか?
それはビジネスへの参入にも当てはまるのです。
その価格でその製品を買いたくなければ消費者は買わなくて良いんです。
それと同じで、その価格でその仕事を受けたくなければ受注しないと言う選択ができるんです。
運送業者が1時間で届けると言うプライムナウの仕事を受注しているのは、本人の意思です。
もし、その価格でその仕事ができない、成り立たないなら、受注せずに他の仕事をすればいいんですから。
さっきの記事から、この文章を引用します。
しかし、なんというか、複雑な心境になるサービスだった。ここで働く人が気の毒になった。ここまでの便利って必要なのだろうか。1日我慢するとか、コンビニに行くとかでもよかったのではないだろうか。(中略)なんというか、人に迷惑をかけつつ、ハイテクな買い物ごっこ、おつかいごっこをさせてしまったような気がして、やや胸が傷んだ
うーむ。
変ですよね。
コンビニで24時間営業も人を働かせるのが気の毒だから、そのコンビニで買うのをやめよう、と言うのと同じです。
もし、そんなことをしたら、そこで働く人はさらに苦しくなるんですよ。
だって収入が入ってこなくなるんですから。
大切なのは、仕事は収入を得るためにやっていると言うことなんです。
仕事が大変そうだからと言って、その仕事を利用しなくなったら、そこで働く人たちは仕事が無くなって収入が無くなって、さらに苦境になるんですよ。
プライムナウの1時間以内の配送料金はプラスで890円かかります。
それだけ配送業者に余分に収入が入るわけです。
高い収入を得るためにワンランク上のサービスを提供するわけですよ、自分の意思で。
これのどこが気の毒なんでしょうか。
収入が変わらずにサービスだけ向上しろと言うのなら、そりゃ気の毒かもしれませんが、そうじゃ無いですからね。
これはどの仕事でも同じです。
高い収入を得る人は、高い努力をする必要があるんです。
それがイヤなら、やめるのは自由ですし、その代わり収入は得られません。
配送業者がその仕事をやるかどうかは、配送業者の意思です。
イヤなら、やめて他の仕事をする自由があります。
新しいビジネスモデルが過去のビジネスよりも、より良いサービスであるかどうかと、労働環境の良し悪しとは、別の問題です。
それを混同している人が多いのでは?
ボクはこれからもどんどんプライムナウを使って配送業者が潤うように協力したいですね。
もちろん、そんな仕事をしたくない人は佐川急便のようにアマゾンの仕事から撤退すればいいんです。
当然、その分の収益機会は失われるわけですが。