ガラパゴス
昔、日本の携帯電話は、ガラパゴスケータイ、と呼ばれていました。
太平洋にあるガラパゴス諸島は、他の大陸と陸続きになったことが無く、そのため、独自の生態系が発達したんですね。
そこから、独自の生態系を揶揄する言葉としてガラパゴスが使われます。
日本の携帯電話はグローバルスタンダードとはかけ離れていたので、ガラパゴスケータイと揶揄されたんです。
ちなみに日本列島は昔は大陸と一体化していたので、生態系はガラパゴスでは無いんですけどね。
さて、日本の携帯電話は世界とは異なる独自の進化をしたため、日本の携帯電話メーカーが海外進出しても、現地の仕様や文化に合わず、結果としてほとんどのメーカーはビジネス的に失敗しました。
日本の携帯電話は高性能で高品質ですが、だからと言って売れるとは限らないという良い見本です。
例えば現在、世界のスマートフォンの大半のシェアをAndroidが握っていますが、その最大の理由は、
安い
からです。そういう意味でも日本製品はグローバルスタンダードになりにくいのかも知れません。
シャッター音
日本の携帯電話の独自の機能として、カメラのシャッター音があります。
言うまでもなく盗撮防止のためです。
iPhoneでもAndroidスマートフォンでも、海外版ではカメラのシャッター音は鳴りません。
日本版のみ、そのようにわざわざカスタマイズされているわけです。
ここでボクの主張。
ボクは圧倒的にカメラのシャッター音廃止論者です。
理由は簡単。
スマホのカメラは今や一部の特殊な人の趣向製品ではなく、大多数の人たちの日常的なコミュニケーションツールであり、生活でもビジネスでも欠かせなくなっています。
盗撮するのはごく一握りの悪人です。
ごく一握りの悪人の行為を規制するために、世の中の大多数の人が不便な思いをしています。
赤ん坊が寝ててもカシャ!
動物に気づかれないように写真を撮ろうとしてもカシャ!
おいしそうな料理を記念に撮影したくてもカシャ!
電車の車窓から景色を撮りたくでもカシャ!
仕事の現場写真を撮るときもカシャ!
これらのカシャ!で得する人は誰もいません。みんな不快です。
iPhoneなんて画面のスクリーンショットを撮るだけでもカシャ!と鳴ります。日本だけは。意味不明。
一方、盗撮犯は、とっくに無音のカメラアプリを使っていますよ。
わざわざリスクを冒して大音量が鳴る盗撮犯なんていません。
つまり、悪人にとってはスマートフォンのカメラのシャッター音なんて何の規制にもなっていないし、大多数の善人だけが不快で不便な思いをしているんです。
メリットが何も無くて、デメリットだけがある。それがスマートフォンのカメラのシャッター音です。
スマートフォンではない普通のカメラを持っている人は知っていますが、それらですら、シャッター音は無音に設定できるんです。
もう、こういうデメリットしか生まない自主規制ってやめませんか?
誰も幸せになれない。
「じゃあそんななところで写真を撮るなよ!」
という極論を言う人がいます。
これだけ一般化して多くの人が便利に使っているモノを、そんな風に規制できますか?
一部の悪人のために大多数の社会的便益を失うのですか?
では、その人にボクは言いたい。
「これだけ交通事故が起こるんだからクルマなんか廃止しろよ!」
でも、そんなことできないでしょ?
事故のリスクがあるからと言ってクルマを廃止すれば大多数の便益が失われるからです。
結果としてメリットよりもデメリットの方が圧倒的に大きくなってしまうんです。
「包丁は危ないから廃止しろよ!」
と言うのもおかしいでしょ?
今のスマートフォンのカメラのシャッター音もまさにその状態なんです。
なぜ海外ではそんな自主規制が無いのか、よく考えましょうよ。
悪しきガラパゴスの事例ですよ。
大事なのは道具の機能を規制することでは無く、使い方を規制することなんですよ。
正しく使う人は便利に、そして悪く使う人は処罰される。
それが本来あるべき姿でしょ?
で、盗撮の現行犯の罰則をもっと重くしましょうよ。
執行猶予なしの懲役30年とか。
被害者に厳しく加害者に優しい今の日本の法体系を変えていくべきだと思うんですけどねえ。