レイヤー
昔(今でもあるかどうかは知りません)、アダルトビデオのモザイク除去装置なる製品が存在しました。
そう言う装置がニセモノであるかどうかは、物事の原理を知っているかどうかで、見抜けるかどうかに影響を与えます。
例えば、飛行機に乗っていて、何らかの故障が発生した時、
- その故障箇所を修理する
- 神様に祈る
と言う選択肢があり(他にもありますが)、当然ながら、前者を選ぶ方が生存率は上がります。
理由は明確で、飛行機は機械によって物理法則に従って飛んでいるからであり、神様が飛ばしているからでは無いからです。
生き延びたければ、神様に祈るより機械を修理した方が良い選択です。
これは、知識が重要で、飛行機が神様によって飛んでいると言う知識を持っている人は、後者の選択をしてしまいます。
その結果、生存確率はグッと落ちてしまうわけです。
誤った知識が誤った選択をしてしまう。
だからこそ、正しい知識、事実を知るコトは重要なのです。
モザイクに関しては、レイヤーと言う知識が重要になります。
モザイクの原理
モザイクと言うのは、画像もしくは映像の全体もしくは一部の解像度を下げるコトです。
Photoshopなどの画像加工アプリを使ったコトがある人なら誰でも知っていますが、画像にモザイクをかけるには、フィルターと言う形で重ね合わせます。
つまり、元の画像レイヤーの上にモザイクレイヤーを載せるわけですね。
この段階では、元の画像は維持されています。
あくまでも、元の画像の手前にモザイクフィルターがあり、それが重なっているだけなので、人間の目には、モザイクに見えるわけです。
しかし、編集が完了し、それを汎用的な画像フォーマット、例えば、jpgやpngなどに書き出すと、レイヤーは消滅します。
1枚の画像として全てのレイヤーは合成されます。
なので、そうなった時点で、元の画像データは破棄されます。
元の画像が維持されているのは、あくまでも、元のファイル。それをPhotoshop形式などで保存しておけば、元画像とフィルターは別々のレイヤーとして維持されるので、いつでも、元画像を見るコトが可能です。
しかし、書き出されたjpgなどの画像にはレイヤーはありません。1枚の画像です。
アダルトビデオの動画も同様で、オリジナル映像としてのレイヤーは保持していません。
加工後のレイヤーだけなのです。
だから、モザイク除去装置には何の意味もありません。
元のデータを持っていないのに、手を加えても、元のデータが復元するわけが無いんですから。
もし、モザイク除去装置を使いたいのであれば、書き出された単体レイヤーの画像や動画に対してでは無く、各レイヤーを保持している元のデータに対してであるべきです。
ここまで書いたコトは、ボクの意見ではありません。
単なる事実を羅列しただけです。
しかし、その事実を知識として知っているかどうか。
ボクは知っていたので、モザイク除去装置に意味が無いコトもわかっていました。
一方、その事実を知らない人は、モザイク除去装置に効果を期待して購入します。
罪深いのは、絶対に効果の無いモノを売るコトです。
売り手と買い手の情報格差、最近の言い方だと、情報デバイドでしょうか。
効果の無いモノを効果があるとして売れば、それは詐欺です。
しかし、残念ながら、世の中が複雑化すると、売り手の方にも知識が無いコトがあります。
つまり、モザイク除去装置に効果があると思い込んでモザイク除去装置を売る人たちです。
実は、これが一番やっかいですよね。
売る本人に知識が無いので、ダマしているつもりが無いわけです。
文明が進むと、そう言う現象は増えます。
このブログでは何度も、因果関係と相関関係と言う言葉を使ってきました。
この2つを混同している人が無数にいるからです。
ただの相関関係なのに、因果関係だと思い込んでしまう人々。
当然、事実を誤認すれば、間違った判断をし、間違った行動をします。
その結果、最善の結果を逃します。
もし、命に関わるコトであれば、正しい知識さえ持っていれば死なずに済んだのに、となるわけです。
ネット上には、たくさんの書き込みがありますが、それらを鵜呑みにするのでは無く、論理的に矛盾が無いかどうかを考える必要があります。
その考え方を書いたのがこの記事なので、合わせて読んでみてください。