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携帯電話やiPhoneのカメラの画素数について(画素数が多いほど高画質だと思っている人へ) その1

画素数の弊害

最初にはっきり言いましょう。デジカメや携帯電話は画素数が増えると画質が下がることが多いです。
その理由を明確に書いてみます。
ボクはカメラも趣味の一つです。今でもフィルムカメラを持っていたりします。
最近は携帯電話にも1000万画素を超えるカメラが搭載されています。
デジカメの世界でも携帯電話の世界でも、画素数競争が盛んです。
しかし、これはユーザーが高画素を求めるマーケットに応じてメーカー間で画素数競争に参加せざるを得ない状況だったからです。
実際には、単純に画素数が増えると画質が下がる、これは開発者もわかっていますし、ちょっとデジカメの仕組みに詳しい人なら知っています。
最近、一部のデジカメで、画素数をあえて減らした新機種が出ることがあります。これは画質を求めるためです。
画素数が多いほど画質が高いと思っている人には不思議に思われるでしょう。

画質は光の量で決まる

そもそも写真の画質は光の量(光量)で決まります。かつて、フィルムカメラの時代には、当たり前ですが、画素数という概念はありませんでした。
いくつかの種類のフィルムがありましたが、高画質なフィルムは面積が大きいものでした。
一般の人が普通に使うカメラのフィルムは35ミリフィルムと言われるタイプですが、プロカメラマンなどはそれよりも大きいサイズのフィルムを使うカメラを使っていました。
当然、カメラも大きくなります。
写真の画質は光量で決まるので、面積が大きい方がたくさんの光を受けることができ、当然、高画質が要求されるプロカメラマンは大きな面積のタイプのフィルムを使っていたわけです。
プロカメラマンは面積の大きいフィルム


では、現在のデジカメはどうでしょうか?
デジカメはフィルムの代わりに撮像素子(CCDとかCMOS)を使います。
フィルムと同じように長方形をしていて、これで光を受けます。ただしフィルムと違ってデジタルデータにしなくちゃいけないので、細かいブロックに分かれています。このブロック一つ一つに色の情報を記録するわけです。
下の絵を見てください。こんな感じです。実際にはこんな少ない画素数ではありませんし、色もこんな風には並びませんが、だいたいこういう仕組みだと思ってください。
カメラのセンサーの仕組み


さてさて、問題は、現在の携帯電話に使われている撮像素子のサイズなんです。

画素数よりも撮像素子(センサー)の面積が大事

携帯電話自体がかなり小さいですから、35ミリフィルムのサイズの撮像素子なんて、とても入りません。
実は、ものすごく小さい撮像素子が使われています。どのくらい小さいかを絵に描いてみました。
こんな感じです。
撮像素子とフィルムの比較


一目瞭然、フィルムに比べて、携帯電話の撮像素子の方が圧倒的に小さいです。もちろん撮像素子によって多少大きさは違いますが、どっちにしてもフィルムよりもめちゃくちゃ小さいです。
この、面積がめちゃくちゃ小さい、ということが画質の面でものすごく不利になっています。
ちなみに、携帯電話ではなく、多くのコンパクトデジカメでも似たようなサイズです。
フィルムカメラの時代はコンパクトカメラでもたいてい35ミリフィルムを使っていましたから、そういう意味では今の時代は画質的には不利な時代と言えます。
ただし現在のデジカメでも、レンズ交換ができるカメラ、いわゆる一眼レフカメラあるいは一眼カメラと言われているものは、撮像素子が大きいです。35ミリフィルムと同じ大きさか、APS-cサイズ(横の長さが23.4mm)のものがほとんどです。
さて、カメラの画質が、光量に影響される話と、その光量を稼ぐには面積が必要だという話はしました。
では、画素数のほうはどうでしょう?
下の絵を見てください。
撮像素子を2つ描いてみました。左は30画素タイプ、右は120画素タイプです。
面積は同じでも画素数が違う


ここで、一つの画素に注目してください。当然ながら、画素数が多い方が、一つの画素は小さくなってしまいます。
さっき言ったとおり、画質を上げるためには、面積が大きい方が有利です。
左の30画素タイプだと、割と大きめの画素が30個集まって出来ていて、右の120画素タイプだと、小さい画素が120個集まって出来ています。
一つの画素は一つのセンサーだと思ってください。
つまり、左のタイプは、面積の大きい=画質が良い=性能が良いセンサーが30個集まって出来ているのに対し、右のタイプは、面積の小さい=画質の悪い=性能が悪いセンサーが120個集まって出来ているわけです。
全体の面積が大きくできないとなると、画素数が増えるとセンサーの性能はどんどん落ちていきます。つまり画質は悪くなります。
このイラストではわかりやすく120画素にしましたが、最近の携帯電話やコンパクトデジカメだと、これが1000万画素もあるわけです。最初に描いたようにただでさえフィルムカメラよりも面積が圧倒的に小さい撮像素子を、さらに1000万画素に分割しているわけです。一つ一つの画素はとんでもなく小さく=光を受ける面積が小さく=画質が悪くなっています。
画素の面積が小さくて画質が落ちる


携帯電話というのは、それ自体が小さいですから、撮像素子の大きさも必然的に小さくなります。
そんな小さな撮像素子の中に1000万画素という極小センサーを詰め込んでいる現在の携帯電話。
はっきり言って画質的にはかなり破綻しかかっています。
実際に撮像素子の大きな600万画素の一眼カメラと、1000万画素の携帯電話のカメラの写真を見比べて見てください。
インターネットで検索すれば、たくさん出てきます。
画素数の少ない前者の方が、比較にならないくらいキレイな写真です。
携帯電話のセンサーはあまりにも小さすぎて、正確に光を処理しきれず、結果として現実とは異なるデータを残します。

写真は高画質で残したい

写真の画質というのはレンズの性能など、いろんな要素の組み合わせで最終的には決まりますが、少なくとも現在の携帯電話では、レンズ性能がものすごく低い上に、とんでもなく小さな画素のセンサーを使っているため、残念ながら大切な写真を撮るのには向いているとは言えません。
画素数が増えすぎて画質が落ちているのが現実です。
画素数を増やすのなら同時に撮像素子の面積を拡大しないと逆効果です。しかし、携帯電話ではそれは難しいです。(巨大な携帯電話を作る必要があります。)
もちろん技術も進歩しますが、それ以上に画素の極小化が進んでしまっていて、画質の劣化が上回ってしまっています。
「写真」という漢字を見てもらえばわかるように「真実」を「写す」ものです。
撮影しても現実と異なるデータが記録されれば、残念ながらそれは写真とは言えなくなります。
多くの人が、画素数が多い=画質がよい、と思い込んでるため、メーカーもそれに合わせた商品を作らざるを得ないのは理解できますが、それはとても残念なことです。
画素数=画質、ではないことが一般に理解されて、メーカーも画素数を減らして、できるだけ一画素の面積を大きくした画質優先のセンサーを開発できるようになれば、結果としてキレイな写真が残ることになり、消費者にとってもメリットだと思います。
思い出はキレイに残したいじゃないですか。


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