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ここまではSoftBankの思惑どおり。クリアワイヤの子会社化。

スプリントによるクリアワイヤ子会社化決定のニュース

クリアワイヤ


こんなニュースがあります。

米社の完全子会社化決定=ソフトバンクに朗報 (時事通信) - Yahoo!ニュース BUSINESS


どういうことかを簡単に説明します。


SoftBankによるスプリントの買収

SoftBankのスプリント買収


SoftBankは去年、アメリカのスプリントという携帯電話会社(キャリア)の買収を発表しました。
キャリアというのは日本で言うと、docomoやau、SoftBankなどを言います。
要するに電話回線事業者です。
その後、スプリントを買収したいというディッシュという会社も登場し、SoftBankと争いました。
しかし、SoftBankがディッシュに勝ち、SoftBankによるスプリントの買収が決まりました。
スプリントというのは、アメリカで3番目に大きなキャリアです。
しかし、1位のベライゾン、2位のAT&Tという会社がそれぞれ1億人近い会員がいるのに対し、スプリントは5600千万人程度。
その差は大きいです。
しかし、SoftBankは日本で携帯電話に参入した時も、ボーダフォンジャパンという小さな会社を買収しました。
1位はもちろんdocomoという巨大な会社。
SoftBankが参入する前はボーダフォンジャパンはdocomoに負け、だから規模で大きな差がつきました。
しかしSoftBankが参入後はdocomoはSoftBankにほぼ負け続け、SoftBankの契約者数はdocomoに近づきつつあります。
お役所気質のdocomoと起業家スピリットあふれるSoftBankの孫氏。
経営というのは行動力とアイディアで大手にも勝てるというのをまざまざと見せつけられる事例です。
そんな孫氏はすでに日本からアメリカに目を向け、スプリントの買収に走りました。
すでにスプリントの買収が決まったため、その時点で、SoftBankグループとしては契約者数がおよそ9700万人。
docomoのおよそ6000万人をはるかに上回ることになります。
そのターゲットはもはやdocomoではなく、ベライゾンやAT&Tにあると言えると思います。


スプリントによるクリアワイヤの買収

スプリントとクリアワイヤ


そこで重要なことがあります。
それがクリアワイヤという会社。
クリアワイヤはアメリカでWiMAXという電波で事業を行なっているキャリアですが、実はこの会社、豊富な電波を持っています。
SoftBankが昨年、それまで持っていなかったプラチナバンドと呼ばれる電波を割り当てられてから、電波の改善をできるようになったのは記憶に新しいところ。
アメリカで成功するためにも、電波は非常に重要で、SoftBankにとっては、スプリントを買収するだけではダメなんですね。
クリアワイヤという会社を何としてもスプリントの子会社にして豊富な電波を手に入れる必要がありました。
スプリントの買収でSoftBankのライバルとして立ちはだかったディッシュという会社。
スプリントの買収はあきらめたものの、クリアワイヤの買収を目指して再びSoftBankの前に立ちはだかりました。
しかし、競争の結果が上記に貼ったニュース。
そうです。SoftBankがここでもディッシュに勝ちました。
これで、SoftBankはスプリントを手に入れるとともにクリアワイヤも手に入れることになりました。
まさにSoftBankの思惑どおり。
ビジネスの世界では、優れた技術やサービスで顧客の支持を集めて成長するのは一番大事なことですが、業界によっては政治力も重要になります。
孫氏が日本の電波ビジネスで欲しい電波を手に入れたり、イーモバイルやウィルコムを買収したこと。
そしてアメリカでスプリントやクリアワイヤを手に入れたことは、彼の政治力、つまりそれは、行動力と説得力のたまものです。
ここまでは、まさにSoftBankにとっては理想的な展開。


V字回復

SoftBankのV字回復


孫氏はこれまでにも、経営危機に陥った日本テレコム、ボーダフォンジャパン、ウィルコムを買収し、いずれも過去の慣習にとらわれないビジネスで業績をV字回復させ、大きな利益を生み出すようになりました。
企業が成長することは日本にとってもGDPを押し上げ、雇用を生み出し、取引先や株主も含め、多くの関係者にとって非常に良いことです。
ユーザーもそれまでより安い価格で携帯電話やインターネット回線が持てるようになりました。
そういう数々の実績を考えれば、孫氏がアメリカで成功するのは時間の問題かもしれません。
しかし、日本の既得権益に守られたお役所的な動きの遅い業界と違い、アメリカのライバルたちはきちんとビジネスとして戦略を立ててきます。
もちろんそれが優れているかどうかはわかりませんが、日本のように一筋縄ではいかないでしょう。
日本企業がアメリカを席捲するのは楽しみですが、困難も大きいと思います。
SoftBankがこの先、どういう成長を見せていくのか、楽しみに見守りたいです。


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