教員の駆け込み退職について。
すっかり世間を賑わしている教員駆け込み退職。
上記記事は埼玉のものですが、実際は全国で同じ状況です。
要するに2月以降に退職すると退職金が大幅に(例:150万円)減るので、1月末までに退職する教員が続出している、ということです。
ボクが不思議に思うのが、非常に表面的な意見が見られること。
「生徒の面倒を3月まできちんと見ないで途中で辞めるとはけしからん。」
例えば、次のような大臣もいます。
はて?そうですか?
教員という職業はプロです。プロというのは自分の労働やスキルを提供して、それと引き替えに報酬を受け取る存在です。
1月まで働いた場合よりも、2月3月まで働いた方が、つまりより多く働いた方が報酬が減ってしまうんですよ。
矛盾してませんか?
ボクは思うんですよ。しょせんは他人事として意見している人がいるなあ、と。上記の大臣のようにね。
自分は教員じゃ無いからそういう問題に直面せずに済んだ。良かった。でも教員はちゃんと3月末まで働けよ。
そんな考え方なんですね。あくまでも他人事なんですよ。
自分は安全な場所にいて、他人を批判する。そんな事は誰でもできますし、それはとても無責任な事です。
こういう問題をきちんと考えるのなら、他人事では無く、自分が当事者だったらどうか、と言うことを踏まえて意見を言うべきだと思います。
そうなったら、ボクもプロとして1月で辞める選択をするだろうし、1月で辞めてしまう教員を決して責めることはできません。
もちろん報酬が減るのを承知で3月まで勤める教員もいて、その人たちの行動は賞賛されるのは言うまでもありませんが、だからと言って1月で退職する教員を責める理由にはなりません。
非常に大きな金額が変わってしまうし、教員も神様や仙人では無く、一般人と全く同じ人間で、給料を得て自分や家族の生活を支えているわけです。
制度に従って退職時期を選択する教員になんら非は無いと思います。
もし、それでも、そういう駆け込み退職する教員を非難する人がいるのなら、その人が150万円をその教員に差し上げればいいんじゃないでしょうか?
他人を非難するくらいだから自分は当然、その痛みを受け入れる覚悟があるでしょうし、教員も150万円損せずに済み、しかもきちんと3月まで面倒を見ることができる。
すべて解決するじゃないですか。
それができないのなら、しょせんはその人も他人事として無責任に他人批判をしているだけです。
そもそも、この件の最大の問題点は、退職金額変更期日を1月末に設定した制度のほうにあります。
つまり、制度設計をした官僚の問題です。
無能な官僚がおかしな世の中を生じさせるのは今に始まった事ではないですが、またいつも通りの残念な事態を引き起こしたわけです。
その点に考えが及ばず、単に教員批判をしている上記の大臣もまた、トンチンカンだと思います。