年金運用
年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が2018年10月から12月の四半期で14兆円の赤字を出したコトでニュースになっています。
Twitterなどでも、金融リテラシーがある人と無い人とで意見が分かれています。
昔は、年金運用は、比較的安全と言われる債券の比率が多かったんですが、2014年から、株式の比率を上げました。
そこで、
「国民の大事な年金をリスクのある株で運用するとはけしからん!」
と言う意見が飛び出すんですね。
そんな中で、直近の四半期で14兆円の赤字。
騒ぐ人が出てくるのもおかしくないですね。
でも、その騒ぎ方、ホントに正しいんでしょうか。
預金もリスク
まず、基本的なデータですが、GPIFの運用は累積でプラスです。
今回、14兆円の赤字でしたが、実は黒字のコトの方が多くて、運用実績はそこそこ良いんですよね。
黒字のときは大きなニュースにならず、赤字のときだけ大きなニュースになるので、それだけを見て騒ぐ人が多い、そんな印象です。
運用している以上、黒字になったり赤字になったりするのは当然です。
このブログでも何度も書いて来ましたが、
ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターン
の原則。
高い利益を狙うには高いリスクを取る必要があります。
従来の債券の比率を下げて、よりリスクの高い株式での運用比率を上げたGPIF。
なぜリスクを高めたんでしょうか。
それは当然、ハイリターンを得るためです。
少子高齢化
日本は人類の歴史でどの国も経験したコトの無い少子高齢化に突き進んでいます。
過去に何度も書いたとおり、日本の年金は賦課方式です。
賦課方式と言うコトは、少子高齢化が進めば、確実に、受け取れる年金は減り、現役世代の負担は増えます。
これは、奇跡が起こらない限り確実に起こります。
では、この確実に起こる危機を回避するにはどうすれば良いか。
それは、主に2つの方法があります。
- 少子高齢化を避ける
- 運用でハイリターンを得る
前者も政府としてはあれこれ取り組んでいますが、効果が出るには時間がかかります。
あと数十年は少子高齢化は続きます。
と言うコトは、もうひとつの方法を採らなければ、苦しむのは国民です。
リターンを得なければ、確実に高齢者は受け取る年金は減るわけですから、リスクを取ってでもリターンを狙うしか無いんです。
もちろん、リスクを取ると言うコトは赤字になるコトもある、と言うコトです。
それが今回ですね。
GPIFのサイトのグラフを見てもわかるように、黒字になったり赤字になったり。
でも、トータルでは累積黒字ですね。
今回の14兆円の損失も、全体で見ればほんの一部です。
はたして、この14兆円の損失も許されないのでしょうか。
であれば、リスクのある運用先を回避すべき、と言う意見になってしまいます。
つまり、それは、確実に将来の受け取れる年金が減るコトを甘んじて受ける、と言う意味になってしまいます。
ボクは、その方が危険だと思うんですけどね。
たまに損する運用先を選ぶか。
それとも確実に苦しむ道を選ぶか。
ボクは前者、つまり、今のGPIFの方針は正しいと思いますよ。
ちなみに、ついでに書きますが、銀行預金は株と違って元本が減らないので安全だと思い込んでいる人がたくさんいますが、大きな勘違いですよ。
銀行預金はインフレヘッジができないので。