非天マザー by B-CHAN

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富裕層と庶民。どちらを優遇するほうが景気が良くなるか。

消費税と所得税

 

みなさん、こんにちは!

B-CHANです。

 

来年後半に消費税を10%にするかどうかの判断を迫られている政府。

増税すると確実に消費は落ち込みます。

では増税しないほうが良いのか。

それはそれで財政を考えると無理があります。

 

一般の個人が負担する大きな税金としては、消費税の他に所得税があります。

消費税は、みんなに同じ税率(今は8%)がかかります。

一方の所得税は、所得の種類にもよるんですが、原則として、高所得者ほど高い税率が課されます。累進課税ですね。

おカネ持ちからたくさん取るのが所得税です。

逆に言えば、消費税は貧しい人からも同じ税率で取るので、貧しい人ほどキツイ税金です。

 

日本の大きな課題として、景気回復があります。

景気を回復するというは、要するに消費を増やすことです。

景気を回復するためには増税は避けたほうがいいんですが、それはできません。

では、どうせ増税しなきゃいけないのなら、なるべく景気にダメージを与えない増税をしたいものです。

果たして、消費税の増税と、所得税の増税とでは、どっちが景気に与えるダメージが少なくて済むのでしょうか。

 

消費性向

 

さっきも書いたように、消費税は庶民にキツイ税金です。

一方で、所得税は富裕層にキツイ税金です。

景気を良くするためには、庶民の収入が増えたほうが良いのでしょうか。それとも富裕層の税金が増えたほうが良いのでしょうか。

例えば次のような国を考えてください。

 

  • 年収100万円の庶民が10人
  • 年収1000万円の富裕層が1人

 

このままだとどちらも使えるおカネは同じです。

つまり、100万円の庶民が10人で1000万円。1000万円の富裕層が1人で1000万円です。

 

ここで消費性向という指標が登場します。

これは所得に対して使うおカネの割合です。

例えば消費性向が0.3なら、所得のうちの3割を消費に使います。

つまり消費性向が高いほど、たくさんのおカネを使うということです。

 

実は一般的には所得が低い人ほど消費性向は高い傾向があります。

これは感覚的にもわかると思います。

年収が100万円しか無ければ、その多くが食費や光熱費などの生活に必要な出費に使われます。

でも年収が1000万あれば、食費や光熱費が10倍かかるわけでは無いので、必要な出費の割合は下がりますよね。

だからどうしても、年収が低い人ほど消費性向が高くなって余るおカネが少なくなり、年収が高い人ほど消費性向が低くなります。

 

これが重要なヒントになります。

 

数値はいくらでもいいんですが、ここでは計算しやすいように、

  • 庶民の消費性向……0.5
  • 富裕層の消費性向……0.1

 

としておきましょう。庶民のほうが富裕層より高ければ何でもいいです。

 

政府が財政出動(ばらまき)をして、人々の年収が増えると考えましょう。

庶民の年収が30万円増えたら、庶民の消費性向は0.5なので、

 

30万円×0.5=15万円

 

の消費が増えることになります。

一方、富裕層の年収が30万円増えたら、富裕層の消費性向は0.1なので、

 

30万円×0.1=3万円

 

の消費が増えることになります。

ということは政府は、同じ30万円をあげるのなら、富裕層では無く庶民にあげたほうが、景気を押し上げる効果が強いわけです。

これは逆も言えます。

庶民の年収が30万円減ったら消費は15万円減り、富裕層の年収が30万円減ったら消費は3万円減るということです。

同じ金額だけ年収が減っても、庶民の年収が減ったほうが、より景気が悪くなるということです。

そう考えると、庶民の年収はなるべく減らさないようにするのが景気を向上させるには効果的だと言えますよね。

さらに言えば、国民全体の数で言えば富裕層は一握りで、大多数は庶民です。

さっきの例では庶民が10人で富裕層が1人。

庶民10人と富裕層1人が同じ年収でしたが、全員に同じ税率が掛かる消費税だと、 増税によって、10人の庶民がより多くの消費を減らしてしまいます。

最初に話を戻しますが、消費税は庶民にキツイ税金、所得税は富裕層にキツイ税金。

そうです。

増税は増税でも、消費税の増税というのは、消費性向の高い庶民にキツイ、つまり庶民の実質的な収入を減らしてしまう増税なので、景気に与えるダメージは大きいのです。

なので、増税しながら景気もなるべく悪くしないようにするには消費税の増税では無く、所得税の増税の方がベターです。

しかし、消費税は徴収が非常にラクですよね。

買い物した時点で強制的に取られる税金ですから。

所得税は一定年収を超えたら申告制ですし、所得税を回避するために富裕層は海外に逃すかもしれません。徴収という面では非常に面倒なのです。

なので、簡単に万人から徴収できる消費税の増税が行われるわけですね。

それが結果として、より多くの人の生活を苦しくして、景気にはより大きなダメージを与えるにも関わらず。

 

結論を書くと、富裕層と庶民とでは、庶民を優遇するほうが景気が良くなる、が正解でした。

いかがですか?

世の中の仕組みや理論を考えることって面白くないですか?

 

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