販売台数と儲け
セールスマンのAさんとBさんがいます。
Aさんは商品を88台売って給料は9万円。
Bさんは商品を12台売って給料は91万円。
あなたはどちらがうらやましいですか。
ボクは単純にBさんです。
Aさんは、88台分を仕入れ、販売活動し、それらのアフターフォローをしつつ、給料はたったの9万円。
ものすごく手間がかかる割には儲けが少ないですね。
Bさんは、たったの12台を仕入れ、販売活動し、それらのアフターフォローをするだけで、給料は91万円。
少ししか働いていないのに良く儲かりますねえ。
これ、何の話か、わかりますか?
実は、iPhoneとAndroidスマートフォンの話です。
Androidの台数シェアはどんどん上がっていて、今では88%もあります。
iPhoneはたったの12%です。
しかし、営業利益、つまり儲けの額で言えば、iPhoneを売るApple社が91%ものシェアを獲ってるんですね。
つまり、Androidメーカー各社は、スマートフォンを売れども売れども全然儲からない、まさにAさんの状況です。
AppleがBさんです。
ボクはよく、自動車の例え話を書きます。
今回も書きましょう。
自動車の販売台数で大きなシェアを獲りたければ、価格を安くすればいいんです。
例えばホンダがステップワゴンを1台10万円で販売すれば、おそらく史上空前の販売台数になるでしょう。
超バカ売れ。巨大な販売台数シェアになるでしょう。
しかし、その結果、ホンダは大赤字になります。
スマートフォンの特徴
今の例は極端ですが、Androidスマホはこれに近い状況に陥っています。
一部の機種を除いては、とにかく安いからたくさん売れるんです。
安いからたくさん売れる代わりに儲からないか赤字。
一方のiPhoneはご存知の通り販売価格が高いんです。
高いから1台売るだけでもAppleには大きな利益が入ります。
1台売って3万円儲かるスマートフォンを10台売って30万円儲ける。
1台売って300円しか儲からないスマートフォンを100台売って3万円しか儲けられない。
メーカーとしては前者の方がありがたいですね。
現在のApple社が時価総額で世界トップクラスなのは、それだけ儲けているからです。
販売台数シェアは全然関係無いんですね。
ではなぜiPhoneは高価格でも売れるんでしょうか。
別に強制的に押し売りしているわけではありませんし、そもそも消費者に買う意思がなければ売れません。
つまり消費者は高くてもiPhoneを買っているわけです。
Androidの場合、X社の製品でもY社の製品でも、結局はAndroidなので、スペック競争になりがちです。
メモリーやストレージの容量が大きいとか処理速度が速いとか。
するとどうしても、安くて性能の良い機種が選ばれがちになります。
必然的にメーカーの利益率は下がってしまいます。
そんな数多くのAndroid陣営と異なるのがiPhone。
そもそも操作性やアプリストアや音楽ストアなどのエコシステムが全然違います。
つまり、本体のスペック競争以外の価値を提供できるんですね。
特に、操作性の良し悪しは本体のスペックの高さとは必ずしも一致しません。
スペックだけを見ればiPhoneよりも高性能なAndroidスマホはたくさんありますが、それでもiPhoneの操作性が優れていると感じる人が多いのも事実。
スペックが高くても使いにくいのはイヤだ。
多少高価格でも使いやすいiPhoneが欲しい。
そう言う差別化ができているわけです。
これって、高性能な部品を使ってコストを上げると言う方法以外での価値を高める手段なんですね。
そうです。
無形バリューです。
Appleは「ユーザー体験」と言う無形バリューの提供が上手いんですね。
iPhoneが高価格でも売れるのは、高価格でも買いたい人が少なからず存在するからです。
スペック以外での魅力を感じる人がいるってことです。
需要と供給で価格は決まるんでしたね。
多くのAndroidスマートフォンは特徴に乏しく他機種と同じようなモノなので、価格を安くするしか売れる理由が無いんですね。
したがって必然的に利益が少ない、つまり儲からない状態となります。
Androidメーカーの課題は、働けど働けど儲けが少ない、そう言うところにあるんだと思います。