圧縮する理由
パソコンで音楽を聞くとき、現時点で一番メジャーなファイルはmp3でしょう。
画像なら、jpgですね。
これらのファイルは圧縮形式です。
jpgは元の写真を、人間の目には見分けが付かない程度に劣化させることで、データの容量を減らしています。
例えば、赤い点が100個並んでいても95個並んでいても、パッと見た感じでは同じようなモノですよね。
でも、データとしては5%減っています。
mp3も同じで、人間の耳には聞き分けられない程度に劣化させて、データの容量を減らしています。
昔、音楽CDが登場した時、良く言われました。
レコードのような温かみが無い、と。
レコードはアナログなので、データの間引きはありません。
良い音も悪い音もきちんと再現されます。
一方の音楽CDは、ある程度、データを間引いています。
16bit、44.1kHzと言う仕様です。
それの意味は、また今度書きますが、要は、そう言う仕様だと思ってください。
では、なぜ圧縮するか。
それは、パソコンのメモリーやメディアの容量に限度があるからです。
例えば、音楽CDの容量は約700MB(メガバイト)です。
音楽1曲が70MBなら10曲入る計算であり、10曲しか入らない、と言うことです。
それを、mp3として圧縮して、1曲を7MBにすれば、同じ音楽CDの容量に100曲も入る、と言う計算になりますね。
今は、スマホの時代ですが、例えば、iPhoneのストレージ(データの保管容量)は、64GB(ギガバイト)や256GBです。
昔、ボクが使っていたパソコンは、メモリーが64KB(キロバイト)でした。
KBの約1000倍がMBで、その約1000倍がGBだと思ってください。
有名なドラゴンクエストと言うゲーム。
ドラゴンクエストの初代は、64KBに収まっているそうです。
プログラムも音楽も敵キャラのグラフィックもマップもすべて含めて64KB以内。
一方、今どきのデジカメで写真を撮れば、写真1枚で5MBとか10MBとか。
写真たった1枚で、ドラゴンクエストのゲーム100本分。
そんな写真をスマホ1台に何千枚も保管できるんです。
時代の進化を感じます。
ハイレゾ
音楽CDは、圧縮はしていないんですが、元の音質に難があります。
解像度が低いからです。
つまり、人間の耳にわからない程度に間引くのが圧縮だとすると、音楽CDは間引くのでは無く、最初からデータが少ないのです。
もちろん、当時としては、それでも十分でした。
レコードと比べると、確かに温かみに欠けることもありますが、多くの人はそれで十分でした。
それ以上に、利便性が上回ったのです。
だから、世界中に普及しました。
しかし、もっと利便性の高い圧縮音楽であるmp3が普及しました。
時代の進化と共に音質は落ちたのです。
でも、ここに来て、ハイレゾ化が進んでいます。
できるだけ圧縮せずに、しかもできるだけ解像度の高いデータを使う音楽ファイル。
要は、原音に忠実なんですね。
そんなハイレゾ音楽ファイルが身近になりつつあります。
moraはハイレゾで音楽を売る有名なサイト。
いくつかのファイル形式があるんですが、試しに、DSDと呼ばれるモノを買ってみました。
しかも11.2MHzと呼ばれる最新の非常に高音質なファイルです。
購入した音楽のファイルサイズを見てびっくり。
ほとんどのファイルが、1曲あたり800MBを超えています。
つまり、音楽CDに1曲も入らないのです。
さっき、mp3なら100曲入るなんて書きましたが、DSDだと1曲も入らない。
なので、メディアとしての音楽CDは、ハイレゾ時代には合いません。
ブルーレイなら、100GBあるので、DSDでも100曲ほど入ります。
音楽ファイルの大きさが100倍になり、つまりそれだけ音質が上がり、それを保存するメディアも容量が100倍になる。
音楽CDもブルーレイも見た目の大きさは同じですが、容量は100倍以上。
ざっくりとした言い方ですが、音質は100倍なのに、同じように手軽に扱える。
音楽CDや圧縮音楽の時代から、いまボクらはここにいるわけです。
やっぱり、コンピュータの世界って、猛烈に進化している、としみじみ感じる今日この頃です。
なお、DSDファイルを再生するには、再生環境もそれなりに投資が必要です。
性能の低いパソコンやスマホでは再生できないか、再生できても、再生時にデータが間引かれます。
美しい絵を、視力の悪い人が眼鏡無しで見るようなイメージですかね。
長くなるので、そのあたりの話は、またいずれ書くってコトで。