コストカット
銀行、保険、ファンドなど、数々の業界を経験し、現在は不動産業界にも身を置くボクが今回気になった記事。
まあ記事自体に何の問題も無いんですが、物事の本質として知っておいて欲しいことがあります。
バス事故を思い出してください。
コストをカットすると、その分のしわ寄せが必ずどこかに来ます。
それが、安全面なのか、ハードウェアなのか、サービスなのか。
バス事故では残念ながら安全面にしわ寄せが来ました。
不動産の仲介手数料でも同じです。
id:cardmicsさんは記事の中で、業者もちゃんと儲けていると書いていますが、仲介手数料が無料ということは、儲けの金額に差が出ます。
両者から仲介手数料がもらえる(いわゆる両手)なら200万円の場合、片手なら100万円しか儲かりません。
儲かると言っても金額に差ができてしまうわけです。
買手が仲介手数料を払わなくて良いということは、必然的に業者は売主から手数料をもらわないとビジネスになりません。
これは言い換えれば、もし買手が仲介手数料を払っていたなら、売主は払わずに済んだかもしれないことを意味します。
その場合、売主は物件のクオリティを上げるために、その100万円を使うこともできたでしょう。
しかし買手が手数料を払わない以上、売主が100万円出すしかありません。つまり、本来、物件のクオリティアップに回ってもおかしくなかったコストが手数料に回ったことになります。
買手から見れば、仲介手数料は確かに無料ですが、その分、物件のクオリティが下がってしまったともいえるわけです。
id:cardmicsさんはデメリットは基本的には特に無いと書かれていますが、コストカットによってどういう点にしわ寄せが行っているのか消費者から見えにくい点が、実は最大のデメリットなのです。
ここに書いたのはあくまでもわかりやすい数字での例えですが、物事の本質を理解してください。
目先の仲介手数料が無料だからといって、一生の買い物である不動産を、手数料目線で選んでしまうのは、落とし穴があるかもしれません。
仲介手数料をきっちりとる業者なら、その分、物件検索や提供にコストをかけられるので、クオリティアップを達成できる可能性があります。
もちろん、たまたま仲介手数料が無料で良い物件に出会うこともあるでしょう。でもそれは単なる幸運です。
仲介手数料の有無を決め手にするのは大きなリスクです。
宝物の本質
ボクが言いたいのは、不動産は人生最大の買い物だということです。
一度買えば、そう簡単に取り返しはつきません。
仲介手数料が無料かどうかは物件の本質とは無関係です。
大切なモノだからこそ、手数料に惑わされず、本質を見極めてください。
目先のコストを節約したために命さえ失うことがあります。
自由経済で資本主義である以上、それは悲しくも現実です。
以上、業界に身を置くボクからの提言でした。
id:cardmicsさん、引用させていただきました。ありがとうございました。これからも読みます。