都心の民家
ボクは2006年の3月に、生まれ育った関西から東京に引っ越して来ました。
自分のクルマに荷物を積んで1号線を24時間ひた走り。
あの日のことは忘れませんねえ。早くも10年です。
さて、大都会である東京をとにかくボクは歩くのが好きです。
江東区の清澄白河に住んでいる時も、渋谷駅まで歩いたこともあります。
歩けば歩くほど、街を覚えるんですよね。
電車での移動も多いんですが、都内のほとんどの駅は一度は降りたと思います。
昔から東京に住んでいる人よりもむしろいろんな街を経験しているんじゃないでしょうか。
東京の都心って大都会なので大きなビルが建ち並んでいたりするんですが、その中にポツリと昔からの一軒家があったりします。
ビルに囲まれた古ぼけた民家。
東京らしい光景です。
それって要するに、もともとは普通に人々が住んでいた街に、時代とともに、民家が立ち退いてビルが建っていき、いつの間にか間に民家が残った、というパターンです。
だから、その民家に住んでいる人は、単に昔からそこに住んでいただけで、周りが変化していったんですね。
だから、大都会の真ん中に住んでいるからといって、決してお金持ちというわけではありません。
税金
しかし、税金の問題が発生するんですよね。
不動産には毎年、固定資産税がかかります。
固定資産税は、不動産の評価額に対して決まります。
不動産の評価額というのは、国や地方公共団体が発表します。
固定資産税は固定資産税評価額に基づくんですが、固定資産税評価額というのは市町村が発表します。
当然、都心の固定資産税評価額は高いです。
だから、たまたま昔からそこに住んでいただけなのに、周りの環境が変わって大都会になってしまったために固定資産税評価額が上がってしまい、高い固定資産税を払わなくちゃいけないんですね。
さらに困るのが相続税。
相続税は路線価から決まります。
路線価というのは道路に接する敷地の評価額です。
これまた当然のように都会は高いです。
都心の民家なんて、相続が発生したら、かなりの相続税がかかることが予想できるんですよね。
でも、さっき書いたように、たまたま昔からそこに住んでいただけでお金持ちでも何でも無いのに、莫大な相続税がかかると困るんですよね。
お金が無いから払えません。
そこで物納です。
お金では無く物で納めるんです。
ここで言う物とは、言わずもがな、不動産です。
つまりね、自宅を手放すしか無いわけですよ。
物納では無くて、自宅を売ってそのお金で納める方法もあるにせよ、どっちにしても自宅は失いますよね。
そりゃ、都心の不動産ですから、それなりに高い価格で売れるかもしれません。
結局ね、都心で見かける古い民家に住む人は、資産家(不動産を持っている)かもしれませんが、必ずしもお金持ちとは言えないってことです。
そう考えると、うらやましくないというか、むしろ気の毒な気もしますね。