吉本興業
世の中的には吉本興業が悪者になっているので、吉本のやり方に非難が行く流れですね。
まあしかし、世論と言うのは極端なところがあって、いったん嫌いになると、何でもかんでもすべて悪い、と言う感情論になりがちです。
もちろんそれは間違いで、好き嫌いとは別に、正しい面と間違った面と両方があると言うコトです。
吉本興業の芸人に対する処遇に関しては、おかしいなあと言う点ももちろんあります。
しかし、その中で、芸人のギャラの最低保障をしろ、なんて意見がありますね。
さすがにボクは、その意見に関しては違和感ありまくりですよ。
実力主義
多くの人が勘違いしてるかも知れませんが、芸人はサラリーマンではありません。
つまり、吉本興業が芸人を雇っているわけでは無いのです。
芸人と吉本興業とはあくまでも業務委託の関係です。
だから芸人は個人事業主です。
街の飲食店や美容室と同じですね。
考えてもみてください。
飲食店や美容室って収入の最低保障はありますか?
もちろんありません。
お客さんがひとりも来なければ収入はゼロなのです。
完全に実力の世界です。
なぜお客さんが来ないのか。実力が無いからですね。
料理が不味いとか、美容の腕が下手とか。
収入がゼロでも、店舗を作った借金は返済しなければなりません。
気の毒ですよね。
気の毒ですが、その道に入るコトを選んだのは、他でも無い自分の意思です。
誰からの強制でもありません。
芸人の道も同じです。
収入が少ないのであれば、それは芸の実力が無いからです。
現に、実力がある芸人は大きな収入を得ています。吉本の芸人にも大きな収入を得ている芸人が何人もいます。
芸人の世界はハイリスク・ハイリターン。
重要なのは、それを選んだのは他でも無い本人なのです。
収入が少ないのがイヤなら売れれば良いのです。
高いリスクを採りたくないのなら、芸人をやめて安定したサラリーマンになれば良いのです。
誰も強制しません。
サラリーマンになれば安定した給料がもらえます。
それと引換えに大きな収入を得る道は絶たれます。
ローリスク・ローリターンの大原則ですね。
他事務所よりも吉本興業のギャラが低いと言う話もあります。
それが気に食わなければ、自らの意思で他事務所を選べば良いのです。
多くの芸人は事前にそれを知った上で、何度も言いますが、自分の意思で吉本興業を選んでいるのです。
なぜなら、吉本はギャラ以外のメリットとして複数の劇場保有があります。
売れない芸人でも劇場に出られるチャンスが大きいのが吉本興業のメリットです。
もちろんその劇場の運営費用は吉本が負担しているわけです。
売れない芸人を舞台に立たせるコトは、吉本にとってはむしろ赤字かもしません。
それでも、吉本は6000人もの芸人を抱えています。
これは6000人もの芸人にチャンスがあると言うコトです。
これを最初から100人に絞ってしまえば、残りの5900人は最初からチャンスが消えるわけです。
だから、芸人は自分の意思で吉本興業を選んでいるわけです。
吉本興業が強制しているわけではありません。
もし、吉本興業が6000人もの芸人に収入の最低保障なんて実施したら大変なコトになりますよね。
劇場の運営経費以外に6000人分もの安定した人件費。
例えば、最低でも生活できる程度の15万円を毎月払うだけでも、月に9億円も会社の支出が増えます。
と言うコトは9億円の収入が毎月無ければ、カンタンに倒産ですね。
倒産したら、最低保障どころか、全員無職です。
6000人のチャンスが消えます。
プロ野球選手も個人事業主です。
実力が無ければ収入は乏しく、その代わり、実力があれば大金が入ります。
戦力になら無ければクビです。保障なんてありません。
吉本のギャラが少ないコトが反社会勢力との付き合いを促したと言う意見も見受けられますが、それは論外ですね。
世の中には売れなくて苦しい飲食店も美容室も、その他の個人事業主もたくさんいます。
彼らは売れないから反社会勢力と接触するのもやむを得ないのでしょうか。
収入が少なくても反社会勢力を排除する人が大多数なんですよ。
間違った判断を正当化するのは筋が通りません。
繰り返しますが、その道に進んだのは自分の意思です。
ハイリターンの前提はハイリスクであるコトは事前にわかっているコトです。
それに対して責任も持てず、人のせいにするのなら、そんな人間は芸人になどなるべきでは無いでしょう。
笑えませんから。
生活費が大事なら安定した仕事を選びましょう。
大金が欲しいなら実力を身に付けましょう。
最低保障が欲しいならサラリーマンになりましょう。
サラリーマンになれば給料も社会保険も法律がありますよ。
くれぐれも言いますが、ボクは吉本興業を擁護しているのではありません。
正しい点は正しいと言いますし、おかしな点はおかしいと言う、それだけです。
ちなみに、吉本興業の会見は最低でしたね。
質問に対して、
「冗談だった」
「諸般の事情」
と回答したときは耳を疑いましたよ。
社長と法務担当を更迭した方が会社にとってはプラスかと。
そもそも芸人と何ら契約書面を交わさない時点でコンプライアンス認識が甘すぎるわけです。
まずは契約内容の明文化。それをしない吉本興業は異常。