WWDC 2020
今朝は、日本時間の23日午前2時から行われたAppleのWWDCのニュースであふれていました。
今さらここで、Appleの発表内容を書いても意味が無いので、単なる個人の感想文を書いておきます。
たくさんの発表があった中で、Macについてです。
みなさんご存じの通り、今のパソコンの世界では、Windowsパソコンが9割を占めていて、Macはせいぜい数パーセント。
昔のAppleはパソコンメーカーだったので、パソコンの販売台数で負けると言うコトは、会社の存続に関わりました。
実際、倒産寸前まで行きました。
21世紀に入る頃から、iMacやiPodやiPhoneやiPadやApple WatchやAirPodsなど、ヒットを連発し、少なくとも、事業の利益としては世界最大規模の会社になりました。
薄利多売よりも高品質高価格。
企業としては理想的ですね。
10台売って10万円稼ぐか。
5台売って20万円稼ぐか。
スマートフォンの世界では、Appleはまさに後者の立場にあります。
労働者として考えればわかりやすいですね。
10時間働いて1万円もらうか、5時間働いて2万円もらうか。
ちょっと話がそれましたが、今回のWWDCでは、Macは大きく舵を切るコトになりました。
2001年に登場したMacのOSのバージョン10がついに終わり、19年ぶりにバージョンアップ。
バージョン11の登場です。
それくらいの改革ですね。
Appleシリコン
パソコンの世界では、現在は、インテルのプロセッサーとその互換プロセッサーが大半を占めています。
昔のMacはモトローラのプロセッサー、その次は、AppleとIBMの共同開発プロセッサー、そのいずれもが競争に負け、ついにMacも、インテルのプロセッサーを載せるコトになりました。
まあ仕方が無いと言うか。
その結果、Macは他のWindowsパソコンとそっくりになりました。
考えてもみてください。
世の中には、DellやエイサーやHPなど、様々なパソコンメーカーがありますが、どれも中身はほとんど同じなんですよね。
フタを開けばWindows。
その中で、ほぼ唯一に近いくらい差別化できていたのがMacでした。
でも、売れないモノは仕方が無い。
MacはWindowsパソコンに近づきました。
なにせ、その頃はiPhoneも登場する前で、Appleが生き残るには、ほぼ、Macに頼るしか無かったんですね。
iPodもありましたが、音楽プレーヤーだけで生き残るわけにもいきませんし。
その後、iPhoneが登場。
世界を変えてしまった結果、Appleをも変えてしまいました。
倒産危機の会社から世界最大級の会社へ。
iPhoneが主役になり、Macは脇役へ。
台数的にそうなりました。
iPhoneでは主導権を握り、Macではそうならず。
そうこうしているうちに、iPhone、iPadなど各製品で、Apple自身がプロセッサーを開発。
Macだけがインテル頼みになりました。
Appleとしては、MacをiPhoneとの親和性が高いマシンにするコトで、Macもたくさん売りたいわけですが、インテルのスケジュールに足を引っ張られます。
これは別にインテルが悪いわけでは無いんですが、iPhoneのプロセッサーが先を行っちゃったんですね。
そもそも、Appleは、垂直統合を特徴としていますよね。
Windowsパソコンは、パソコンの製造とWindowsの設計が異なる会社なので、一体感に限度があります。
クルマで言うとわかりやすいでしょうか。
トヨタの最高級車にはトヨタ自身がそのクルマに最適化したカーナビを設計すれば、ユーザーの体験が上がります。
トヨタの高級車とホンダの軽自動車に同じカーナビを搭載しても、クルマの特性を最大限活かせないんですよね。
クルマで言うとわかりにくくなってしまったような。
Appleは、自社でハードを作り、そのハードに最適化するようにソフトを作ります。
だから、他社では実現できない一体感を実現できます。
ところが、他社製品であるインテルのプロセッサーを使うしかなかったんです。
つまり、Windowsパソコンと同じプロセッサーです。
今では、Appleは自社でiPhoneなどのプロセッサーの開発を行っていますが、もはやその実力は、ある面ではインテルのプロセッサーを超えましたし、Apple特有の機能を載せるコトもできます。
インテルに対して、Apple固有の機能を載せてよ、と言っても、なかなか実現しにくいですしね。
Appleが自社でプロセッサーを作る能力を備えた以上、もはやインテルに頼る必要が無くなりました。
もちろん、プロセッサーを変更すると、過去との互換性が心配されますが、過去に何度かプロセッサーの変更を経験したAppleは準備万端。
これによって、iPhone、iPadだけでは無く、Macでも自社製プロセッサーを搭載できるようになり、スマートフォン、タブレット、パソコンで共通して動くアプリを作りやすくなります。
iPhoneには多数のアプリがありますが、それらの多くがMacで動く、そんな環境がやって来そうです。
そして、規模のメリットもあって、製造コストは下がりそうです。
さらに一番大事なのは、差別化ですよね。
Windowsパソコンと同じインテルでは無く、Appleの独自プロセッサー。
つまり、Appleの独自機能を載せやすくなります。
パソコンだけなら、Windowsと互換性があるのが強みとなるかも知れませんが、時代は流れて、モバイルつまりスマホが中心となる世界に移ってきました。
なので、もはやWindowsとの互換性を重視しなくても、スマホとの互換性があれば、それが売りになります。
実際、ボクも、このブログで、iPhoneとMacの連携についてたくさん書きました。
今後は、さらにそれが強化されるので、同じメーカーのスマホとパソコンを持つメリットが増えるわけです。
Windowsパソコン(Microsoft)とAndroidスマホ(Google)。
Mac(Apple)とiPhone(Apple)。
好みの問題ですが、従来のパソコンだけの世界と違って、スマホが大きな存在感を示す世界では、Appleは独自路線に走るコトで強みを発揮できる。
たぶんそう判断したんでしょうね。
パソコンとスマホの連携で言えば、MicrosoftのパソコンとMicrosoftのスマホ、GoogleのパソコンとGoogleのスマホ、でも良いわけですが、Windows機もAndroid機も多種多様なメーカーが作っていて、それらの互換性が重視されるので、独自機能を載せにくいんですよね。
もしかしたら独自路線が失敗するかも知れませんが、Appleは賭けに出ました。
少なくとも、スマホ世界になってからの、Macのプロセッサー変更は初めてです。
そう言う意味では従来とは異なります。
スペックや使用体験では間違いなく向上するでしょうけど、ユーザーがそこに目を向けてくれるか。
それとも引き続き、ワードやエクセルが動くかどうかが重視されるか。
ボクには予想はできませんが、世界最大級の会社が大きな転換をしたと言う意味では、影響は大きいんでしょうね。
コケると、様々な取引先もダメージを受けるので、上手く行くコトを願いますが。