リスク・リターン
前回の記事で、演繹法と帰納法、因果関係と相関関係のことを書きました。
因果関係と相関関係については、あらためて書くつもりですが、今回は、多くの人が間違えている、もうひとつのトピック、
- 必要条件
- 十分条件
について書こうと思います。
と、ここまで書いた時点で、「逆」「裏」「対偶」についても書きたくなってきた、と言うか、関連することなので、一緒に書きたいんですが、それもまた、別の記事で書こうと思います。
- ハイリスク・ハイリターン
- ローリスク・ローリターン
と言う言葉を知ってますよね。
リスクが高ければリターンも大きいと言うことです。
ただし、この書き方だと、あいまいなので、もう少し具体的に書いてみます。
ハイリスク・ハイリターンと聞いて思い浮かぶのは、例えば、株式投資です。
ローリスク・ローリターンと聞いて思い浮かぶのは、預金です。
株式投資は、元本割れを起こす可能性がある代わりに、数倍に増える可能性もあります。
預金は、原則として元本割れはしませんが、その代わり、ほとんど増えません。
おカネを増やしたいのであれば、預金ではなく、株式投資を選ぶ必要があります。
なぜなら、預金は、おカネを失う可能性が無い代わりに、おカネが増える可能性も無いからです。
つまり、預金を選んだ時点で、おカネ持ちになる道を自ら閉ざしたと言うことです。
世の中には、おカネが無くて大変だ、おカネがもっと増やしたい、と言っているのに、預金しか持っていない人がいます。
それは、行動としては矛盾していますね。
預金する限り、おカネは増えないんですから。
仮に金利が年7%の半年複利だとしても、2倍になるのに10年以上かかりますし、税金を考えれば、もっとかかります。
そもそも、7%の金利なんて、今後、実現する見込みは非常に低いです。
てことは、預金なんてのは、おカネを減らさないための手段ではあっても、増やすための手段では無いってことです。
おカネを増やしたいのに、預金しかしていない人は、まずは、おカネの行き先を見直す必要があります。
株式投資は、おカネを増やすための、
必要条件
と言うことです。
では、株式投資をすれば、おカネが増えるのでしょうか。
さっきも書いたように、株式投資は、ハイリスク・ハイリターンです。
うまく行けば、短期間で数倍にも増える可能性がありますが、逆に元本割れの可能性もあります。
増えることは約束されているわけではありません。
おカネを増やすためには株式投資は絶対に必要ですが、株式投資をしたからと言って絶対におカネが増えるとは限らないわけです。
Aが成り立つなら必ずBが成り立つ場合、AはBの
十分条件
と言います。株式投資をすれば必ずおカネが増えるわけではないので、株式投資はおカネを増やすための十分条件ではありません。
おカネを増やすためには、
- 絶対に株式投資をする必要があるが(必要条件)、
- 株式投資をしたら絶対におカネが増えるわけではない(十分条件ではない)、
と言うことですね。
おカネを増やしたい人は、絶対に預金以外のハイリスク・ハイリターン投資を始める必要があります。
仕事
これは仕事つまり収入についても言えます。
固定給のサラリーマンである限り、収入は増えません。
月給30万円が突然、月給300万円にはなりません。
固定給の仕事は、給料が減るリスクも小さい代わりに、増える可能性も小さいです。
ローリスク・ローリターンですね。
収入を増やしたいのに固定給の仕事をするのは、矛盾した行動です。
もちろん出世すれば、少しずつ収入は増えますが、大きくは増えません。
収入を増やすには、
収入が増える仕事を絶対にする必要があります。
歩合給とか起業とか。
それらは収入を増やすための、
必要条件
です。
歩合給なら成績が悪ければ逆に収入は減りますし、起業も成功すれば大きな収入を得られる反面、失敗すれば大きなダメージを受ける可能性があります。
ハイリスク・ハイリターンですね。
収入を増やしたいのに固定給の仕事をするのは、そもそも矛盾した行動です。
固定給の仕事のメリットは「安定」です。安定は変動の反対語なので、要するに、変動しない、収入は増えないってことです。
では、歩合給の仕事や起業をすれば、収入が増えるのでしょうか。
いえ、それは約束されているわけではありません。
歩合給の仕事や起業は、収入を増やすための、
十分条件では無い
と言うことです。
おカネ持ちになる人が少ない理由
預金、固定給の仕事 = ローリスク・ローリターン
株式投資、歩合給の仕事、起業 = ハイリスク・ハイリターン
まず、上記の2つのうち、前者を選んだ時点で、おカネは絶対に増えません。前者はあくまでもおカネを減らさないための手段、安定のための手段です。
後者が必要条件です。
この時点で2つの選択肢のうち、ひとつは消えました。50%は消えましたね。
そして、後者を選んでも、成功する人は、その中の一部です。
後者は十分条件ではありません。
つまり、残りの50%のうちの一部しか成功しないわけです。
入り口の段階で、すでに50%なのに、さらにそこから減るわけです。
どうやっても、成功する人は50%未満になります。
仮に、ハイリスク・ハイリターンを選んだ人のうちの20%だけが成功するとしましょう。
すると、トータルの確率は、
50% × 20% = 10%
です。全体の1割の人しか成功しないことになります。
残りの9割の人たち、世の中の大半の人たちは成功しません。
これが格差社会の要因のひとつです。
では、この割合を上げるにはどうすれば良いでしょうか。
ハイリスク・ハイリターンの選択をした人たちの成功確率を人為的に上げられないのなら、母数を上げれば良いのです。つまり上記の50%の部分を60%とか70%と増やせば良いのです。
例えば、世の中の9割の人たちが、ハイリスク・ハイリターンを選ぶなら、
90% × 20 = 18%
となります。さっきの10%から18%に上昇しました。
こうなれば、格差が、
90 : 10
から、
82 : 18
になり、少し解消されますね。
でも、日本人は、おカネをほとんど預金して株式投資の割合が低いです。また起業する人の割合も、アメリカと比べても低いです。
ハイリスク・ハイリターンを選択する人の割合がとにかく低いんですよね。
上に書いたように、おカネ持ちになるための必要条件がハイリスク・ハイリターンなのに、その選択をしない人たちの方が多いわけです。
その時点で、絶対におカネ持ちにならない選択を大半の人が自分で選んでいるわけです。
なのに、日本には、宝くじを買う人が非常に多いんですね。
多くの人がおカネ持ちになりたいと思いながら、そのために絶対に必要な選択をしないので、絶対におカネ持ちになれないわけです。
一方で、当選確率が限りなくゼロに近くて、ほぼ確実におカネを失う、宝くじに群がる人は非常に多い。
ごく一部の人だけが、絶対に必要な行動をする。
そりゃ、格差も広がりますよ。
格差社会を政治の責任とすることにボクは異論はありませんが、実際には、絶対におカネ持ちになれず、おカネを失う選択を、
自らの意思
で行っている人が多いことを知っておいてくださいね。
どんなに立派な賞品のマラソン大会が行われていても、それに参加しない人には、また、参加してもコースを間違えている人には、
絶対に
賞品は手に入らないのです。
*1:投資に関しては、株式投資以外に不動産投資や他のハイリスク・ハイリターンな投資も含みますが、毎回書くのが面倒なので、この記事では株式投資だけを書きました。